大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「地球に隕石が衝突したはずみで毒ガスが発生した。ガスは毒の雨となって海に降り注いだ。(……)戦う前から詰んでいたのだ」  モササウルス

続 わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑

『続 わけあって絶滅しました。』丸山貴史、著。絵はサトウマサノリ、ウエタケヨーコ、北澤平祐。監修、今泉忠明

絶滅を引き起こす最大の理由。それは「環境の変化」です。

 

(……)

 

「強い」「弱い」は環境によって変わります。

だから、どんな生き物が生き残るかなんて、だれにもわからないのです。

あらためて教えられることたくさん。《進化のお約束》──「1 あともどりはできません。」「2 とっても時間がかかります。」「3 意志ではどうにもなりません。」

 

絶滅の説明が、変わらず好い。

「おしっこのしすぎで絶滅」──ファソラスクス。

「羽毛が無意味で絶滅」──ロンギスクアマ。

「くねくねして絶滅」──バシロサウルス、など。

電車を乗り換えるときに、買った

andGIRL(アンドガール) 2019年 10月号【表紙】平野紫耀(King & Prince)

King & Princeが載った『andGIRL』2018.11を買ったという記録はあるのに、ひらいた記憶がない。いつからじぶんの時間をとれなくなってるのかわからない。ジャニーズに触れていないと思考が、ことばが欠けはじめる。

 

『andGIRL』2019年10月号。あかるい笑顔。

Q セリフ覚えはいい方?

 

体調によります。いいときは、サラサラ〜ってセリフが入ってきて1週間かからないくらいで台本全部覚えられるんです。それが、体調がいまいちだと4行くらいのセリフが3時間経っても覚えられないことも。たくさん寝ればいいってものでもなくて、僕自身も自分の体調が読めなくて困ってます(笑)。

平野紫耀の、じぶんを制御できていないところが愛しい。行動的な男子の理想と現実を、ひとつのからだに宿らせている。もしかしたら、生とはそういうものかもしれない。遠くのことをかんがえるのは、ずいぶん安定した状態だ。

好きな子とのデートについて〈当日にいきなり「今日、何してる?」って誘っちゃいます〉と言う平野紫耀のスタンスは、野生だ。

まだ『こういう役をやってみたい』って思えるほどお芝居の経験がないので、どんな役でもどんどん挑戦していきたいです。今はクールだったりドS だったりする役が続いているので、『もしかしてオレ、嫌なヤツに見えるのかな?』って。もちろん楽しんで演じてますけど、自分がどう見られているのか不安です(笑)

「トオルってさ 言いたいことあると黙るよな いつもすごいしゃべるのに」

 

てだれもんら 1 (ビームコミックス)

行為をえがかないBLかな、とおもって読みはじめた。

絵は、写実的ではないけれど色気がある。骨が太く、おとこの膚の匂いがする。タイトルは『てだれもんら』。手練の者たちということだ。日本の料理人と、庭師。

週末に、ひとつの部屋で寝るものの、えがかれる恋は片想いらしいと判るのはすこしあと。それよりもおどろくのは三話目の「庭師の仕事」だ。

庭に棲む《怪(け)》を祓うのも仕事であると。

一話、二話の語り口がしっとりしていたこともあって、空想的非日常の混入に動揺した。あわてておなじ作者の短編集『にわにはににん』を買い「ああ、ファンタスティックな庭師の話はすでに描かれていたのか」と確認できても胸の高鳴りが止むことはない。

中野シズカ『てだれもんら』第1巻。つづくのである。生ま生ましい二人の眠りがファンタジーに呑みこまれぬよう期待しながら待つ。

 

現代っ子の描きかたがみごと。極端でなく。どこにでも居そうな。

その延長線上に、クセのある奴、芯のある奴などがいて、物語をつくっている。 

「売春婦がつぎつぎにころされる 事件が クリスマスシーズンに起こった」

ロンドン・ロード ある殺人に関する証言(字幕版)

『ロンドン・ロード ある殺人に関する証言』(2015)。

2011年初演のミュージカルを映画化。スリリングなつくりに、にやりとする。

イプスウィッチ連続殺人事件と検索すればでてくる実際の事件、その狂騒や差別がすぐ目のまえのことのようだ。

えがかれるのは殺人ではなく、噂。売春婦ばかりがつぎつぎと。「善良な」住人たちは恐怖をかんじつつ、好奇心を掻き立てられている。

 

監督は、ルーファス・ノリス。現在ロイヤル・ナショナル・シアターの芸術監督でもある。舞台の演出もこのひとだ。

えらばれたのは、ちいさな劇場だったという。ささやくような、うたうがごとき科白。けっしてうたいあげたり、おどったりせず、さざ波めいた途切れることなきなめらかさがつづく。

静かなミュージカルなのだ。反復、増幅、突然の休止。事件に取材し、そこで拾ったことばが詞として用いられ、芝居がかったものではないのに、ミュージカルの快味を保っている。

 出演者の大半はオリジナルキャスト。

「じぶんの死を想像して生きようともがけば、どんなことでも成し遂げられるはず」

ファング一家の奇想天外な秘密(字幕版)

「体当たりの演技が売りじゃなかったのか」

「演じることが怖いから、何にでも挑戦しただけよ」

『ファング一家の奇想天外な秘密』(2015)。原作はケヴィン・ウィルソンの小説『ファング一家の奇想天外な謎めいた生活』。

なにしろキャストが佳い。ニコール・キッドマンジェイソン・ベイトマンクリストファー・ウォーケン、メアリーアン・プランケット。。クリストファー・ウォーケン演じる父親の若き日はジェイソン・バトラー・ハーナー、若き日の母親役にキャスリン・ハーン。

監督は、出演もしているジェイソン・ベイトマン

 

かんたんに言うと「毒になる親」との物語、「毒になる親」からはじまる物語。

それが陰惨な密室劇にならないのは、ケイレブ(クリストファー・ウォーケン)とカミーユ(メアリーアン・プランケット)が子らを巻きこんで活動した前衛芸術家だったから。

かれらは子のアニーを「A」、バクスターを「B」と呼んだ。長じてアニーは女優に、バクスターは小説家となった。しかしアニーもバクスターもミッドライフ・クライシスに突入し、仕事がうまくいかなくなっている。

再会した父親の芸術性も衰えていた。

 

ここまでが起承転結の、起。原作が長編小説なので、おもいださせれる幼少期や、そのとき関わったひとびとの再登場が小気味良い。「転」を迎えて俳優たちの表情が変わる。ぞくりとする。

 

アニーは「家族を演じたくない。一度でいいから本物の家族でいたいのよ」と言った。

べつのばめんでバクスターは「偉大な芸術は難しい」と父に対して皮肉だった。

 

バクスターが語った。「かんがえたくないのにかんがえてしまうときには、そのことから書きだすと良い」

どんなに奇妙でも、それを書き進めていくんだ。

 

アニーはつぶやく。

「昔は良かった。シンプルだった」……。

「言うことを聞いていれば済んだ」……。

「いつから複雑になったのかしら」……。

 

高校時代同級生だったスザンヌ・クロスビー役にマリン・アイルランド、サンドウィッチ店のマネージャーにチャーリー・サクストン。

 

〈霧のなかでは 秘密の友だち〉

音楽劇『あらしのよるに』観る。

主演は渡部豪太(ガブ)と福本莉子(メイ)。オオカミのリーダー・ギロに高田恵篤、おばさんヤギに平田敦子

演劇は、おもしろい。高田恵篤のようにアングラを演り、シェイクスピア劇(それも、野村萬斎の)を演り、ファミリー向けの劇を演る。たくさんの作家を股にかけ、表現の豊富なベテランがいるかとおもえば、ういういしく真ッ直ぐな、自身の感動を舞台にあふれさせる若手もいる。渡部豪太は中堅だろうか。十代の福本莉子との共演に、余裕がある。オオカミとヤギの関係を、あくまでユーモラスに。

脚本との格闘の合間に、俳優同士の駆け引きがある。

 

前半55分、休憩20分を挟んで後半は35分。子ども向けながら、2時間近い劇場体験をさせるのが凄い。原作やアニメ映画と比べて台詞は削ぎ落とされている。生演奏。生歌。オオカミが、ヤギが、精霊が踊った。

あらしのよるに》という合言葉、《ひみつのともだち》なる関係性。ワクワクするような、ヒリヒリするようなかたちをつくった原作はきむらゆういち

音楽劇の脚本・演出に立山ひろみ。

「誰もいない海に行きたいです」  新田真剣佑

Ray(レイ) 2019年 09 月号

きれいというのは、おちついていて、あどけないこと。そのあどけなさを青年期にも温存している。

『Ray』2019.9。表紙と記事に、新田真剣佑

新田真剣佑の記事に触れるたび震えるのは、インドアなのに交遊をひろげているところ。好奇心旺盛。それを、あちらこちらと散らかさずに定め深める。

友達の出ている映画で泣きます。というか、友達が出ていても泣きます。

この「友達」も軍団や派閥のようなものでなく、フラットな連帯だ。

 

新田真剣佑は、自他の若さに影響を受けている。

きっといつまでも若い。