大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2015-12-11から1日間の記事一覧

「うちは保健所じゃねえんだよ」

映画『舟を編む』(2013)、この美しさは何なんだ。監督、石井裕也。 加藤剛、小林薫のやりとりにはじまり、俗にふるまうオダギリジョー、対人面では気の弱さが目につくが一途なキャラクター馬締(まじめ)を演じる松田龍平。おんぼろの編集部。きれいな新社…

〈教授のように、いいかげんな仕事をして辞書に形だけ名を刻むのではなく、俺はどの部署へ行っても、『大渡海』編纂のために全力を尽くそう。名前など残らなくていい。編集部に在籍した痕跡すら消え去って、「西岡さん? そういえば、そんなひともいましたっけ」と馬締に言われるとしても、かまわない〉

三浦しをん『舟を編む (光文社文庫)』。 西岡は「誠実なのね」と女から賞されたためしがなかった。必要に応じて嘘もつくし、気分に応じて優しさの量を調節する。それが本当の誠実ってもんじゃないのか、と半ば開き直っている。必然的に、どの女とも長続きし…