昭和十七年の冬、私は単身、東京の何もかもから脱走した。 さいしょの一行からゾクゾクする。逃げだす者がおぼえる陶酔を想うと昂奮してしまうのだ。 「私」は神戸にいた。〈街の背後の山へ吹き上げて来る海風は寒かったが、私は私自身の東京の歴史から解放…
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