大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

バディ(男女問わず)

アレクサンドリア、世界の結び目。

「ナショナル・シアター・ライブ」の『アントニーとクレオパトラ』(2018)、二人の死が語られるラストを冒頭にもってきたので、おどろいた。そういういじりかたを、予想していなかった。 『アントニーとクレオパトラ』が書かれたのは四代悲劇のあと、比較的…

「うしろ弁天まえ不動」

『吉祥寺寄席』行く。第55回。 登場したのは春風亭一猿、春風亭三朝、ゲストに栗林祐輔(能管。笛方森田流)。仲入あって八光亭春輔。 春風亭一猿、いまは前座だが5月に二ツ目昇進の由。演ったのは「半分垢」。 この噺はおもしろい。娯楽のすくない時代とい…

生首。森がうごくこと

ナショナル・シアター・ライブ『マクベス』観る。冒頭に制作者の解説映像あり。 もともとの舞台は11世紀。「超自然的な力を信じた時代」である。設定はそこから近未来へと変わる。 現代のイギリスがかかえる問題をかんがえると欧州連合、多民族、他宗教、経…

「『骨董品』になったら、また店においで」

中井貴一と佐々木蔵之介がならぶ『嘘八百』。包容力と胡散臭さをもつ二人。大阪で、骨董品をめぐるコンゲーム。 出演者が皆胡散臭さをまとっている。近藤正臣、芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫……。その辺りでじゅうぶんにおどろけるが、桂雀々まででてくる。…

(この二人は5年間…ちゃんと“師弟”だったんだなぁ…)

穂積『僕のジョバンニ 3 (3) (フラワーコミックスアルファ)』。 5年間。それがどのようなかたちになるかが天才と凡人の差ではあるのかもしれない。鉄雄の5年間は、端から見れば《空白》である。 鉄雄は腕だめしにとちいさな大会にエントリーするが、それを聞…

背中の描写、多い。

折り合いなんてつけたら 鉄雄は その瞬間に チェリストとして死ぬ 穂積『僕のジョバンニ 2 (フラワーコミックスアルファ)』。小学6年生の鉄雄はチェロを弾いていた。その音をたよりに、海難事故から生還できた郁未(いくみ)。郁未は鉄雄からチェロを習うが…

《チェロよ叫べ》

天才と、凡人のことがえがかれているよと聞いて、読めばすぐにそのちがいがわからなくなるけど、とにかくどちらも孤独である。 孤独と孤独が触れあったところに物語が生まれた。それは共同体的な教訓ではない。掟ではないのだ。 穂積『僕のジョバンニ 1 (フ…

「おれの父親がもっとマシな人間だったら……」「いまのあなたはいないわよ。あなたって、学校や町の誰とも違っている。それはお父さんのおかげだわ」

じつはいま、「なにかが起こっている」…… 『モンスタートラック』(2016)、油井から未知の水生生物が飛びだし、2体は捕獲したものの、のこる1体はどこに? きっかけはこのようなかたちで、採掘する企業が「追う者」として物語ははじまる。高校生の主人公(…

「何かすごいことが起こってあたしの日常を吹き飛ばしてくれないかなと そんな風に思っていたんです」「すごいこと? お前 霊感少女なんだろ なら日常はすごいことばかりなんじゃないか?」

『BOX~箱の中に何かいる~(1) (モーニング KC)』。諸星大二郎のアンテナにいま引っかかっているものを、ひとつの箱のなかに入れて物語に仕立てあげる。短編でもなく、連作でもない不可逆的なホラーコメディ。全3巻。 登場人物の光二と惠がBL! といって読みす…

〈門番を雇ってしまったので門を作ることにした〉  寺山修司

モンストコラボで『七つの大罪』。全然知らないがバンに一目惚れして課金、ゲットする。 かるいチェックのつもりでアニメやマンガの『七つの大罪』に触れたら、おもしろくってビックリした。テキパキと大胆な筋運びだけでなく、ガッツリ恋愛をえがいている。…

「ハチミツ アワふいてる」「ナマだからね」

1990年代以降の萩尾望都にハマッたので、ヒトやモノがさまざまな音を立てるなかを生き延びたり優しさで呑んだりしている社会性と非日常の描写愛しく、その方向でポーの一族されると快感をおぼえる。 アランが、岩橋玄樹みたい。現代の匂い。それでいて(それ…

「この家で正直者なのは俺だけだぁ」

ディズニーの『カンペキ・ボーイ』(2014)。白人と黒人のおんなの子が主演で、シンデレラストーリー、ファミリー・ロマンス。 ディズニー・チャンネル・オリジナル・ムービーは恋(非日常)と事件(非日常)と日常のバランスが良く、なにかが添え物になった…

「墓場より、もっと酷いところから逃げ出してきたんです」「そこは?」「継母の手のひら。あいつは僕の尻を撲った! 手のひらで撲った! 力一杯撲った!」

2011年の『身毒丸』、大竹しのぶと矢野聖人。 先ず脚本の寺山修司と岸田理生が愛しくて。愛する用意が出来てしまっている。演出は蜷川幸雄。 身毒が、継母にズボンを下ろされ尻叩かれる。身毒が、行水する。そういうナマの艶めかしさもあり、仮面や血のり、…

ヴァンパイアとかゾンビとかアメリカンフットボールとかベースボールといった古典的な題材には工夫が要る。

『フリークス・シティ』(2015)は人間? とゾンビとヴァンパイアが団結してエイリアンを倒す話で、順を追って説明するには関係が絡まりすぎているので映画はいきなりクライマックスからはじまる。物語に要請された語りの必然性がニクい。 脚本は『22ジャンプ…

ドラえもん「部長とボクとどっちがだいじなのッ!」

『映画 ドラえもん 新・のび太の日本誕生』(2016)、テレビ放映は先週3月3日。旧石器時代のククルが清冽で凛凛しく愛らしく、チャンネルを合わせるたびに展開がスムーズ。それで改めて正坐して観る。良かった。 映画ドラえもんの新シリーズに対してエピソー…

優しく丁寧でなければあいての快楽を引きだせないもの

1980年の映画『青い珊瑚礁』。Amazonビデオでは「青い珊瑚礁 Ce」とあり、Ce? 観たあともずっと気になってたけど日記に書こうと商品検索かけたら何のことはないコレクターズ・エディションの略でCe。 原作小説があって、1948年の映画があって、その後もリメ…

「考えてみると我々は自分の脳を自分のものだと思っているが 目に見えないものが出たり入ったりしているかもしれない」

水木しげる『神秘家列伝〈其ノ壱〉 (角川ソフィア文庫)』、紹介されるのはスウェーデンボルグ、ミラレパ、マカンダル、明恵。 案内役のねずみ男がのっけから「世の中には常識では考えられないようなアタマをもった人間がいるものです たとえば柱に頭をぶつけ…

こんな子いたな。こんな子いるよな。

朝、目覚まし時計で起きる──小説の書き出しならば退屈極まりない「日常」が映画の冒頭になるとどうしてこうもドキドキするのか。 『ブルーラグーン 〜恋の目覚め〜』、2012年のテレビ向け映画。リメイク作。ブルック・シールズ主演(1980年。ミラ・ジョヴォ…

「こんなんラッキーパンチやないかい。ラッキーでモノゴトがくつがえるか!」

「きょうはついに一発殴り返せたね。記念すべき日だよ。帰り道だって泣いてなくて、ずっと怒ってた」 映画『いけちゃんとぼく』(2009)。原作は西原理恵子。モノローグ、セリフのひとつひとつが胸に沁みる。 見えたのは、ワンピースいっちょで泳ぎまくるお…

「太陽に飛び乗って 明日まで行ったんだ」

「考えるのは、弱いヤツだ」という保守的な大黒柱がまとめてきたクルード一家・クルーズが、知的で美しい青年ガイと出会うことで変わっていく。これまで試みることのなかった行動、あたらしく生まれる内面。ダイレクトに影響を受けるのは先ず同世代の異性だ…

2008年のオーストラリア映画『ブルー・ブルー・ブルー』、シコい。 他人から見てシコいものが青春だ。羨まれない若さなど、何でもない。 物語は、弛緩している。そうではあるけど好奇心を充たそうとする少年たちのドライブや、セックスや、サーフィン。かれ…

「生きていればアイスクリームが食べられるし、スムージーも飲めるし」

『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』観た。ぼろぼろ泣いた。 脚本家の円熟もあるし、キャストが佳い。変わったひとを茶化すようなところがすくなかった。 初恋の成就。 キャストもストーリーも大して知らぬまま、いまどきの日本映画とクドカンドラマを好きな…

「おれのことも信用しないほうがいいぜ。飼い犬に手を咬まれたときは、ほかの犬よりも痛い」

韓国映画、『ハッピー・トゥギャザー』(2008。原題『同居、同楽』)。監督は、有名女優とおなじ名をもつキム・テヒ。

「あなたは入館できますが、連れは駄目です。許可が下りていない」「善良な人たちよ」「人間のクズだ。クズは通せません。絶対に」「あなた、奥さんが逃げるはずね」

おんなの子が苦しんでいるのを見るとかなしくて涙がでてくる。この映画は、刑務所にいる荒(すさ)んだ心身のおんなの子が主人公で、それだけだと、ひたすらにかなしい。 けれど、ひとに関心をもたない、皮肉屋の老ピアノ教師がここにいる。「良い人間」にし…

「欲しいのは きみの思い出だ」

『ウォーム・ボディーズ』、2013年の映画。ゾンビ・ミーツ・ガールの謳い文句どおりなところもあるけれど、やや拉致監禁の気味があり、深く触れ得ない点でシザーハンズ、フランケンシュタインのクリーチャー。ふつうにかんがえれば「キモい」。 だから、ゾン…

書影は玉川奈々福による資料、小沢昭一『私は河原乞食・考 (岩波現代文庫)』。 青山学院大学総合文化政策学部・青山BBラボによる「LGBTって何だろう? Vol.06 『日本の伝統芸能に見る男と女の境界とは?』」を聴く。登壇したのは浪曲師・玉川奈々福、KADOK…

刑事と、泥棒。

『ハート泥棒を捕まえろ!』観る。もうすぐ閉館となるシネマート六本木に駆けこんだ。韓国の恋愛映画が観たかった。 主演はチュウォンとキム・アジュン。監督、イ・ヒョンジョン。 荒唐無稽で、だいじなばめんでもへいきでズラす、笑い話にする。そういう、…

「俺のために生きるって誓ったくせに 逃げようとしたよな もう一度俺の側(そば)に居たいなら ちゃんと償えよ」

(KCデラックス Kiss)" title="きみが心に棲みついた(3) (KCデラックス Kiss)" class="asin"> 天堂きりん『きみが心に棲みついた(3) (KCデラックス Kiss)』。 私がこの人のそばにズルズル居れたのは 彼のそばに居た他の女(ひと)と違って星名さんと体の関係…

〈どうせ私は、自分でも、いゝ行末は持つてないつて思ふンですけど、そンな事はどうでもいゝのね。行末なンて興味がないわ〉  林芙美子「瀑布」

恋愛が、どこかで生活や経済にむすびつく。あいてにそれをもとめなくても、あいてにそれをみとめないということはある。けっして精神的なものでは済まない恋愛。女性的な。 林芙美子「瀑布」。戦後、それも大都会の様相だ。〈文明的なものと原始的なものが、…