大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

バディ(男×男)

複数の夜(ふくすうのよる)

ここにも、舞台のような演出、ある。 『おっさんずラブ-in the sky-』にも『彼らを見ればわかること』にもあった。説明兼モノローグが、ピンスポットを当てられた舞台上の俳優の如きものとして、あつかわれる。 ある種の仰々しさだったり、起こりつつある事…

「ぼくの棲家は『東京』そのものである。これは今までのアパートよりもはるかに間取りが多くてゆたかである」  寺山修司

田山花袋や自然主義文学にこだわるうちに、辿り着いた。 中村光夫が「田山花袋」という作家論でこう書く。 「自然主義の勃興は文学の分野における『東京者』に対する田舎者の勝利であった」 岡崎武志『上京する文學 春樹から漱石まで』。〈三代以上続いた江…

日活ヤクザバンパイア

『極道大戦争』(2015)。主演市原隼人。監督三池崇史。小ネタのオンパレードでたとえば出番の多いでんでんがケーシー高峰みたいなホワイトボードレクチャーするとか、三池崇史のセルフパロディがいろいろあるとか(タイトルも中身も『妖怪戦争』なのだし)…

「かわいい」のこと

遅ればせながら、和山やま『夢中さ、きみに。』。書影はずいぶんまえから気にしていたが「手塚治虫文化賞(短編賞)とりましたよ! 試し読みもできますよ!」と年下の友人から推されるかたちで、やっと。 単行本は林くんが登場する4篇と、二階堂くんがでてく…

(ショックやったなぁ…仕事とか夢とか 諦めなあかんこともあるんや…)

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』第5巻。 巻頭は、タニタ食堂の話で、めずらしく固有名詞がでてきたと読み進めれば、外食で肉料理をシェアした奇縁とあとがきに書かれていた。偶然を語れる明るさが佳い。 ほかにも大手を離れ、中小に転職した話や、…

「にんげんになれなかったじぶんを恥じるように、ひっそりと去っていく」

『泣き虫しょったんの奇跡』(2018)。主演は松田龍平だが、早乙女太一、妻夫木聡、染谷将太、永山絢斗、野田洋次郎、渋川清彦、上白石萌音、新井浩文その他、新進の二枚目だけでも大勢でていて、しかし将棋の、奨励会の話だからみんなで幸せになることはで…

よい歪み、わるい歪み。

『嘘八百 京町ロワイヤル』観る。とても良かった。 深すぎない。ダレない。監督は武正晴。脚本・足立紳、今井雅子。脚本家によるノベライズはPARCO出版から。アツい。 前作『嘘八百』は堺市、今作では京都市の協力があった由。ロケ地スタッフキャストなど。…

(大事な人の大事なもの 大事な思い出なんだ 守んなきゃ──)

ゲイ友の、肉会。 三柴信司 28歳 印刷会社営業 夢中になれる 仕事に 打ち込んで 休日はジムに フットサル だけど 俺には 人には秘密の やめられないことが ひとつだけ 暴食すること! ダヨオ『肉食組曲』第1巻。気持ちが好い。理屈をこねずに、しかもひとよ…

(実況者だけど リスナーの誰にも見せない秘密の部屋を作ってしまった)  『恋の実況配信はじめました』

さかもと麻乃『恋の実況配信はじめました』。ゲームなどの動画配信、その設定ならではの密室性をさらりと入れてくる。各話きちんと見せ場もある。甘酸っぱい十代。前戯よりももっと手前でみるせかい。 実況者の「ダクト」と「あめる」がすぐにはバディになっ…

〈彼らは二人で笑いあいつつ、ある共通の考えの中で次第次第に結びついていった。つまり、自分たちの性別の破壊という考えだ〉  ラシルド「ムッシュー・ヴィーナス」

シンポジウム「『フランスBL小説セレクション 特別な友情』刊行記念 仏文×BLのただならぬ関係」に行く。 このアンソロジー『特別な友情』は、映画『悲しみの天使』の原作であるロジェ・ペールフィット『特別な友情』の本邦初訳がウリなのだけど、抄訳にとど…

「ぼくはいったい何をカッコつけてたんですかねえ」

『BS笑点ドラマスペシャル第2弾 五代目 三遊亭圓楽』観る。 円楽を谷原章介、立川談志に駿河太郎。五代目円楽の堅苦しさ、談志の危なっかしいところがよくでている。 美談、失敗談のならぶ予定調和の青春物語に終わらず、社会と戦い、越えていく。 さいしょ…

「寺の符牒は噺家が考えたんじゃねえか?」  蒟蒻問答

『スペース・ゼロB1寄席』行く。出演は春風亭一猿、神田すず、三遊亭わん丈。 春風亭一猿のマクラで聴いた都電落語会の話に胸詰まる。 都電落語会の運営は林家こん平事務所によるもので、車内のことゆえ楽屋なく、演者のすぐそばに林家こん平師匠がいる。若…

「トオルってさ 言いたいことあると黙るよな いつもすごいしゃべるのに」

行為をえがかないBLかな、とおもって読みはじめた。 絵は、写実的ではないけれど色気がある。骨が太く、おとこの膚の匂いがする。タイトルは『てだれもんら』。手練の者たちということだ。日本の料理人と、庭師。 週末に、ひとつの部屋で寝るものの、えがか…

アレクサンドリア、世界の結び目。

「ナショナル・シアター・ライブ」の『アントニーとクレオパトラ』(2018)、二人の死が語られるラストを冒頭にもってきたので、おどろいた。そういういじりかたを、予想していなかった。 『アントニーとクレオパトラ』が書かれたのは四代悲劇のあと、比較的…

あくまのじてん。

『ViVi』5月号にKing & PrinceのA to Z。ちいさな辞書。 「B」には「バカ(笑)。6人それぞれみんなバカ。キンプリを一言で表すならバカ」と永瀬廉。かれらは、岩橋玄樹がいるはずの空白をかならず意識させる。それはすごいことだ。不在であるとかんじさせず…

『少年たち』

映画『少年たち』観た。美しかった。胸を衝かれた。 物語の理想としては、環境から切り離された個性によってドラマが展開するべきだろうとおもうけれども、少年という概念は飢餓感や孤独を呼び寄せずにはおかないわけで、映画らしくいくらか話の筋をみせるた…

〈表面だけ演じることで わかってないふりをしていたかった〉

PEYO『ボーイミーツマリア』、BL、すごかった。 生きのびるために「薄っぺら」な反応をしていくことをえらんだ大河(たいが)が、女装する演劇部員・優(ゆう)と出逢う。それこそ「薄っぺら」に、どこまでもつづけられそうなラブコメとして展開するのかとお…

ぜんぶわすれたくなること

志村貴子『さよなら、おとこのこ』第2巻。 ぜんぶわすれたくなるとき、たぶんある。すべての関係を絶ちたいとか。その表れの一つとして、子どもになりたいとねがうというか、子どもになってしまう。 心の声というやつもでてくる。ナチュラルな絵だから舞台設…

ミ・エスタス・インファーノ……(私は子どもである……)

舞台のチケットと縁なく、ときに主演の松田龍平を想いながら読む。松田龍平が宮沢賢治というのは大胆なイケメン化のようにもおもうけど、茫洋としたかなしみはあんがいぴたりと合ったのかもしれない。 井上ひさし『イーハトーボの劇列車』。前口上に、こうあ…

松尾芭蕉と温泉

嵐山光三郎『奥の細道温泉紀行』。テレビ番組で「奥の細道」自転車走破を企んだり、月刊『太陽』で「温泉・奥の細道」を取材したり。それらを再構成したかたちで、この本がある。 〈芭蕉は旅の魔術師である。(……)これは、旅をドラマに化けさせるマジシャン…

〈結論めいたことを言ってしまえば、日本人には「悠長なシステム」を構築して、洗練された「時間の無駄使い」をする才能があるのです〉

橋本治が亡くなった。2019年1月29日。 「橋本治」という一人の書き手としてはまだまだ進んでいけたとおもうし残念だけれど、どれだけ長生きをしても接ぎ木する若手は現れなかったことだろう。エピゴーネンばかりだ。 橋本治の本を読んでいくしかない。その断…

「ボクあの手法は好きやないなぁ…」「何?」「脅迫系」

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』。好きで読んでる。温かなリアリティ。おかずくんがゆるやかに関西人で、大しておもしろいことも言わぬなど、レッテルからの逸脱が、関係性を生んでいる。 感情の濃淡がひとそれぞれにあるだけで、俯瞰すれば皆おな…

〈奔放で軽やかな オレとは正反対の男なら〉

この読後感の良さはなんだろう。ジョゼ『from 2DK』。3編。それぞれに描き下ろしのみじかい後日譚。 BLだからこそ、まだゲイ関係にないおとこの子たちの同居生活をえがける。なにも起こらないのに、クローズアップされる。描写される。 ひとと暮らすのに、き…

「若菜 オレ喜ばすのうますぎる お前の言葉ウソがないから」

佐藤龍我と高橋恭平! とおもいながら読んだ。BLに、こういう取り乱しかたをしたのは初めて。ジャニーズJr.をかさねるなんて。 肌の匂いと体温。なまなましさがあるのは、省略が効いているせいだろうか。裸を描くのも上手い。 濡れ場はすくない。ノンケが、…

「──て これ…俺の心臓の音か…!?」

「学び飯」として芸能界の先輩から話を聞くジャニーズJr.の『裸の少年』がおもしろい。性差はあまり問題とされず、どのように苦労したか、生き延びたか。柴田理恵、田中律子、森公美子など、めいめいに歩みがある。 その道をHiHi Jetsや東京B少年の子らの未…

2013年から 断続的に つづいている 黄泉路の物語

(BL描写なし)藤たまき『黄泉路喫茶コヘンルーダ (ウィングス・コミックス)』。サスペンス。謎多きオトコたち。 中心となるのは、霊が視える彩達(さいたつ)。 昼も夜も 目を閉じて いても それは いなくは ならない 藤たまきによる、節度あるオトコっぽい…

「親父が言ってたっけ。『味は見た目だけではない』」

武正晴監督『カフェ・ソウル』(2009)。脚本(金杉弘子)は甘いところもあるけれど、カメラワークがしっかりしている。 追いかけっこがはじまったり(『嘘八百』)、育ったばしょがおんなじだったり(『百円の恋』)と武正晴監督らしいばめん、傾向をかんじ…

「『骨董品』になったら、また店においで」

中井貴一と佐々木蔵之介がならぶ『嘘八百』。包容力と胡散臭さをもつ二人。大阪で、骨董品をめぐるコンゲーム。 出演者が皆胡散臭さをまとっている。近藤正臣、芦屋小雁、木下ほうか、坂田利夫……。その辺りでじゅうぶんにおどろけるが、桂雀々まででてくる。…

「…いつからそういうこと言うようなヤツになった?」

イシノアヤらしからぬ表紙の『アイ・ドント・クライ (上) 【電子限定おまけ+アマゾン限定特典付き】 (バーズコミックス ルチルコレクション)』。たおやかな、男子アイドル然とした顔。ほかの人物たちとは描きかたが異なる。それで華がある。 アイドルも、バ…

「なかちゃんはさー なんで映画同好会入ったの?」「……ウチの大学LGBTサークルあるの知ってる?(……)会員募集の張り紙のノリが……合わなくてさ〜」

新井煮干し子『もらってください (EDGE COMIX)』。マンガとして、自立している。ムダがない。登場人物けっこう会話してるのに、時間の省略きちんとしていて、動きがあり、喜怒哀楽もすごい。 モテることとあんまり縁なく過ごしてきた希介。女の子にとてもモ…