大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

バディ(男女問わず)

ヴァンパイアとかゾンビとかアメリカンフットボールとかベースボールといった古典的な題材には工夫が要る。

『フリークス・シティ』(2015)は人間? とゾンビとヴァンパイアが団結してエイリアンを倒す話で、順を追って説明するには関係が絡まりすぎているので映画はいきなりクライマックスからはじまる。物語に要請された語りの必然性がニクい。 脚本は『22ジャンプ…

ドラえもん「部長とボクとどっちがだいじなのッ!」

『映画 ドラえもん 新・のび太の日本誕生』(2016)、テレビ放映は先週3月3日。旧石器時代のククルが清冽で凛凛しく愛らしく、チャンネルを合わせるたびに展開がスムーズ。それで改めて正坐して観る。良かった。 映画ドラえもんの新シリーズに対してエピソー…

優しく丁寧でなければあいての快楽を引きだせないもの

1980年の映画『青い珊瑚礁』。Amazonビデオでは「青い珊瑚礁 Ce」とあり、Ce? 観たあともずっと気になってたけど日記に書こうと商品検索かけたら何のことはないコレクターズ・エディションの略でCe。 原作小説があって、1948年の映画があって、その後もリメ…

「考えてみると我々は自分の脳を自分のものだと思っているが 目に見えないものが出たり入ったりしているかもしれない」

水木しげる『神秘家列伝〈其ノ壱〉 (角川ソフィア文庫)』、紹介されるのはスウェーデンボルグ、ミラレパ、マカンダル、明恵。 案内役のねずみ男がのっけから「世の中には常識では考えられないようなアタマをもった人間がいるものです たとえば柱に頭をぶつけ…

こんな子いたな。こんな子いるよな。

朝、目覚まし時計で起きる──小説の書き出しならば退屈極まりない「日常」が映画の冒頭になるとどうしてこうもドキドキするのか。 『ブルーラグーン 〜恋の目覚め〜』、2012年のテレビ向け映画。リメイク作。ブルック・シールズ主演(1980年。ミラ・ジョヴォ…

「こんなんラッキーパンチやないかい。ラッキーでモノゴトがくつがえるか!」

「きょうはついに一発殴り返せたね。記念すべき日だよ。帰り道だって泣いてなくて、ずっと怒ってた」 映画『いけちゃんとぼく』(2009)。原作は西原理恵子。モノローグ、セリフのひとつひとつが胸に沁みる。 見えたのは、ワンピースいっちょで泳ぎまくるお…

「太陽に飛び乗って 明日まで行ったんだ」

「考えるのは、弱いヤツだ」という保守的な大黒柱がまとめてきたクルード一家・クルーズが、知的で美しい青年ガイと出会うことで変わっていく。これまで試みることのなかった行動、あたらしく生まれる内面。ダイレクトに影響を受けるのは先ず同世代の異性だ…

2008年のオーストラリア映画『ブルー・ブルー・ブルー』、シコい。 他人から見てシコいものが青春だ。羨まれない若さなど、何でもない。 物語は、弛緩している。そうではあるけど好奇心を充たそうとする少年たちのドライブや、セックスや、サーフィン。かれ…

「生きていればアイスクリームが食べられるし、スムージーも飲めるし」

『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』観た。ぼろぼろ泣いた。 脚本家の円熟もあるし、キャストが佳い。変わったひとを茶化すようなところがすくなかった。 初恋の成就。 キャストもストーリーも大して知らぬまま、いまどきの日本映画とクドカンドラマを好きな…

「おれのことも信用しないほうがいいぜ。飼い犬に手を咬まれたときは、ほかの犬よりも痛い」

韓国映画、『ハッピー・トゥギャザー』(2008。原題『同居、同楽』)。監督は、有名女優とおなじ名をもつキム・テヒ。

「あなたは入館できますが、連れは駄目です。許可が下りていない」「善良な人たちよ」「人間のクズだ。クズは通せません。絶対に」「あなた、奥さんが逃げるはずね」

おんなの子が苦しんでいるのを見るとかなしくて涙がでてくる。この映画は、刑務所にいる荒(すさ)んだ心身のおんなの子が主人公で、それだけだと、ひたすらにかなしい。 けれど、ひとに関心をもたない、皮肉屋の老ピアノ教師がここにいる。「良い人間」にし…

「欲しいのは きみの思い出だ」

『ウォーム・ボディーズ』、2013年の映画。ゾンビ・ミーツ・ガールの謳い文句どおりなところもあるけれど、やや拉致監禁の気味があり、深く触れ得ない点でシザーハンズ、フランケンシュタインのクリーチャー。ふつうにかんがえれば「キモい」。 だから、ゾン…

書影は玉川奈々福による資料、小沢昭一『私は河原乞食・考 (岩波現代文庫)』。 青山学院大学総合文化政策学部・青山BBラボによる「LGBTって何だろう? Vol.06 『日本の伝統芸能に見る男と女の境界とは?』」を聴く。登壇したのは浪曲師・玉川奈々福、KADOK…

刑事と、泥棒。

『ハート泥棒を捕まえろ!』観る。もうすぐ閉館となるシネマート六本木に駆けこんだ。韓国の恋愛映画が観たかった。 主演はチュウォンとキム・アジュン。監督、イ・ヒョンジョン。 荒唐無稽で、だいじなばめんでもへいきでズラす、笑い話にする。そういう、…

「俺のために生きるって誓ったくせに 逃げようとしたよな もう一度俺の側(そば)に居たいなら ちゃんと償えよ」

(KCデラックス Kiss)" title="きみが心に棲みついた(3) (KCデラックス Kiss)" class="asin"> 天堂きりん『きみが心に棲みついた(3) (KCデラックス Kiss)』。 私がこの人のそばにズルズル居れたのは 彼のそばに居た他の女(ひと)と違って星名さんと体の関係…

〈どうせ私は、自分でも、いゝ行末は持つてないつて思ふンですけど、そンな事はどうでもいゝのね。行末なンて興味がないわ〉  林芙美子「瀑布」

恋愛が、どこかで生活や経済にむすびつく。あいてにそれをもとめなくても、あいてにそれをみとめないということはある。けっして精神的なものでは済まない恋愛。女性的な。 林芙美子「瀑布」。戦後、それも大都会の様相だ。〈文明的なものと原始的なものが、…