大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

映画

「わたしってばかね。ほめられなくても平気みたい」

仕事のハナシとしても恋の物語としてもすぐれている。監督ニコラス・ハイトナー。バレエの映画『センターステージ』(2000)。 身の処しかたが佳い。踊りもそうだけれど、それぞれの人生どのように舵を切るか。 名門校に入ったものの、登場人物たちはプロポ…

オムニバスのいいところは、ふだん積極的には観ない俳優を知ることができるところ。

トータル159分。オムニバス映画『ブルーハーツが聴こえる』(2017)。1話ごと、などと律儀なことを言わずちまちま、ちまちま観ていけばいいとおもう。1話目の魅力にやられたけど。 1話目は「ハンマー(48億のブルース)」、尾野真千子に惹きこまれて角田晃広…

ほかに藤真美穂、安達雅哉、梶剛、白川哲郎ら。

『猫と電車』(2012)。「ことでん路線開通百周年企画」ということもあり、郷土性のほかにエキストラが多数起用されているようで、映るひとびとになまなましさがある。それにうまくまじるかたちで脚本は80年代的なポップと冗談ぽさがある。主演の篠原ともえ…

「マイクロプロセッサのリアルタイム・プログラミングで80年代には2つのことができた。1つ目は、ミサイルを飛ばして人を殺すこと。もう一方がゲーム開発」

ゴシップから都市伝説へ。スコップでかるく掘りかえされもした「アタリ社のクソゲー『E.T.』が埋められた土地」。舞台となるアラモゴードの元市長や市長候補も巻きこんで、ゲームソフト『E.T.』が数百万本埋められたばしょを発掘する。 ドキュメンタリー『At…

つぶやきシロー好演。

『おー! まい! ごっど! 神様からの贈り物』(2014)。 女装しているのがつぶやきシロー。しんでしまった藤本(崎本大海)が天国に行くか地獄に落ちるか。課されるコトや、死者であるとバレてはいけないという禁忌など、シリーズ物なら有効な縛りを1本の映…

「自転車は子どもがさいしょに得る自由だ」

若者が大金を手にして有頂天になっていた。 お金をたくさん稼いで数年でやめるつもりだった。 そうしたら病気になった。 全てがふいに 夢と消えた。 復帰した時は、誰も自分に期待していなかった。 人間なんてそんなものだ。 それならツールで優勝してやろう…

「二つの世界に挟まれたけど。それで幸せみつけられた」

2005年の映画。ニコール・キッドマンがかわいい。沢口靖子のような清純で一所懸命な役どころ。監督はノーラ・エフロン。温かな、そしていくらか知的な登場人物たちによる喜怒哀楽を堪能する。 イザベル(ニコール・キッドマン)は魔女。なんでもできるせかい…

ギャップと共感と

母子二人が部屋のなか。母が子を想う気持ちが凄い。母と子では「未知」に対する態度が異なる。 1977年の作品であり、物語の説き起こしかたがイマドキの映画とはちがうからイマドキのおとこの子には薦められないでいるけど、たくさんのにんげんによって量産さ…

ヒロインの実父役にウィリアム・H・メイシー

2015年の映画『ルーム』。監禁生活を強いられていた母子が無事に脱出し、外界と触れはじめる。生まれたときから密室暮らしが当たり前だった子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)にはなにもかもあたらしく、おどろくことにためらいはない。母のジョイ(…

ここをでなければ。そとでこどもがまっている。

報道されなかった細部の欠落を埋め、煽情的に語られたであろうところは省略する。つまり真っ当なのだが、ネットサーフィンで情報を拾っていったときのおぞましさはない。映画として、それが過不足なく倫理的なつくりかただったのか、よくわからない。 2015年…

「終わりのない憎しみや復讐に関わる理由はない」

『風と共に去りぬ』や『ゴッドファーザー』は当然として、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にところどころ似ていることにおどろいた。『愛と精霊の家』(1993)、ビレ・アウグスト監督。製作国はドイツ、デンマーク、ポルトガル。 出演はメリ…

おもいやり、記憶、引用、現実

ザカリー・シャセリオ目当てで観た『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(2013)。おもしろかった。ザカリー・シャセリオはチョイ役だ。生け垣に半身突っこんで倒れている脳梗塞の男の足にスケボーでぶつかり、迷った末に携帯で救急車を呼ぶ。 監督、セバス…

ザカリー・シャセリオ推し

新作『レザーフェイス 悪魔のいけにえ』がひかえている二人の監督ジュリアン・モーリーとアレクサンドル・バスティロ。これまでに『座敷女』『リヴィッド』、『ABC・オブ・デス』中の「Xylophone(木琴)」。 イメージありきの、緻密さやゲーム性を欠いたや…

バグは英雄になるけれど

原題は「My Soul to Take」(2010)。ビデオスルーとなったため邦題は監督の名を冠して『ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパー』、かえってとっつきにくい結果に。 きびきびした会話を聴いているだけでウェス・クレイヴンの映画と判る。きっかけはかんたんだけ…

The Thing

『トロール・ハンター』にでてくるトロールたちの、信じがたい種の多様さとその造作から連想したのは鼻行類、ハナアルキ。 雪のなかの未知との戦いという画は『遊星からの物体X』に通じ、トロール、ハナアルキ、物体Xはいずれもただ生きてるだけで物語を必要…

カフカ的 権力 虐げられていることの笑い

2010年ノルウェーの映画『トロール・ハンター』。モキュメンタリーという手法のそもそものいかがわしさをうまくとりこんでいる。先ず取材対象となる人物が胡散臭い。クマの密猟云々と言ってでてくる死骸が、ストーリー上では本物だけれど画としては明らかに…

「『行水の女に惚れる烏かな』」「何です?」「いや、高浜虚子の句だ。虚子もきっと、マドンナを見たんだな……」「何をです?」「おまえは綺麗だな。気が付かなかった」

1975年の映画『吾輩は猫である』。監督市川崑。脚本八住利雄。 伊丹十三演ずる迷亭がパアパアパアパアしゃべるところから映画ははじまる。猫は、とりあえず口をきかない。 家の主人・珍野苦沙弥の仲代達矢がとても佳い。まわりの演技や世界観を受け入れなが…

「嘆かわしい……あああ、嘆かわしい」「あん? なにか言うたか?」「ああいや、城中どこでもブンチャカブンチャカ。あっちでピーヒャラドンツク、こっちでもピーヒャラドンツク。じつに、嘆かわしゅうございます」「まあ、良いではないか。それを騒騒しいと思うのは、そちが何も出来ぬからであろう?」「ご冗談を、殿。こう見えましても、この九郎左め、山鹿流陣太鼓免許皆伝の腕前にござります」

筒井康隆原作、岡本喜八監督の映画『ジャズ大名』(1986)。乾いているが、硬ばっていない。ギャグやセリフが大人である。脚本は岡本喜八、石堂淑朗。 聡明で好奇心旺盛な藩主を演じるのは古谷一行。まわりに財津一郎、殿山泰司、ミッキー・カーチス、唐十郎…

舞台は1960年代の、スウェーデン。

パートナーはいない。一人娘をそだてながら、電話交換手をしながら、ジャズシンガーとして夢をつかもうとするモニカ。これだけでくるしくて泣けて仕方ない。物語が要らないくらい、じゅうぶんに生活と夢がある。 伝記映画『ストックホルムでワルツを』(2013…

あらゆるものをつなぐ

ミュージカルライブ『ビリー・エリオット 〜リトル・ダンサー〜』(2014)。主演エリオット・ハンナ。初演は2005年、原作映画『リトル・ダンサー』は2000年。 10年以上愛されてきた作品に、ライブビューイングのカメラが入る。出演者ばかりでなく観客の熱も…

廣木隆一監督の『僕らは歩く、ただそれだけ』(2009)を一寸連想。女子や男子がふらふらしている。

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017)監督、石井裕也。 石井裕也×池松壮亮にはドラマW『エンドロール〜伝説の父〜』(2012)、『ぼくたちの家族』(2014)などある。 石井裕也と松田龍平は『舟を編む』で。 そういうふうに、ならべていくと視え…

オスカー・アイザックの演じたキャラクターくらいではメインを張れない群像性。そうでありながら対話劇。良きコスチュームプレイ。

『スターウォーズ/最後のジェダイ』観る。脚本、監督ライアン・ジョンソン。時代劇というよりはWWEプロレスか。スター・ウォーズやSFやアメリカンプロレスが表出する“人種のるつぼ”は時代と共に変わっていく。すごく現代的だった。多士済済であるためにスト…

「国境は関係ない。宇宙飛行士になりたいだけ」と、小学生のおんなの子たち

原題は「SPUTNIK」、ソ連の人工衛星スプートニクだ。地上は東西冷戦によって分かたれ、示威のためには宇宙を目ざす必要があった。 スプートニク1号の打ち上げ成功は1957年。アメリカによるアポロ11号の月面着陸が1969年。それから徐徐に、仮想敵国を意識した…

「おれの父親がもっとマシな人間だったら……」「いまのあなたはいないわよ。あなたって、学校や町の誰とも違っている。それはお父さんのおかげだわ」

じつはいま、「なにかが起こっている」…… 『モンスタートラック』(2016)、油井から未知の水生生物が飛びだし、2体は捕獲したものの、のこる1体はどこに? きっかけはこのようなかたちで、採掘する企業が「追う者」として物語ははじまる。高校生の主人公(…

「なにか困ったことがあるたび電話してたら日が暮れちまう」

『だれもがクジラを愛してる。』(原題 Big Miracle)、2012年の映画。実話。舞台はアラスカ、1988年、大統領はロナルド・レーガン。 コククジラの救出の中心に自然保護団体グリーンピース、というそれだけで拒否反応をおこすひともいるけれど、どんなもので…

途中、いろんなひとと出会う。取材する。ときには共に歩く。

ジョン・ミューア・トレイル踏破のドキュメンタリー『Mile... Mile & a Half』(2013)。 およそ4週間かかる340kmの自然道。補給のための合流箇所もあるし、どんなハイカーでもチャレンジしやすい。仕事を休む必要があるけれど。 監督はジェイソン・M・フィ…

共依存すれすれ。サイコスリラーだから、その関係が壊れなければ先に進めないけど。

『ABC・オブ・デス』の一篇「Youngbuck」のことをずっとかんがえている。鹿狩り。銃と自然と残虐性。アメリカ人のなかには狩りにある種の興奮を見いだすひともいる。ハンティングにおける極度の興奮を性的な残忍さと結びつけるのは分析としてはありそうなこ…

「なぜ作家の写真は10歳若く見えるのか?」

『ミラクル・ニール!』(2015)、サイモン・ペグ主演、監督はテリー・ジョーンズ。会議する宇宙人の声にはジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、エリック・アイドル、マイケル・ペイリンも。 物語として登場人物を信じるおもしろさに加えて、モンティ・パイ…

「自然学者のジョン・ミューアが言っているよ。『パン一切れを持ち、垣根を飛び越えろ』」「垣根のなかはぬるま湯ってことか」

ロバート・レッドフォード主演の『ロング・トレイル!』(2015)、監督はケン・クワピス、脚本リック・カーブ(マイケル・アーント)とビル・ホールダーマン。製作には(もちろん)ロバート・レッドフォードの名も。 原作はノンフィクション作家ビル・ブライ…

完成は死だが魂は続く

26編のオムニバス『ABC・オブ・デス2』(2014)、良かった。おもわず買った。 テーマは「死」。そこには酷薄もあるし不条理もある。監督のえらびかたが巧く、バラエティにも富んでいた。 さいしょに仰天したのが「Badger アナグマ」。自然をあつかう番組のパ…