大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

映画

「終わりのない憎しみや復讐に関わる理由はない」

『風と共に去りぬ』や『ゴッドファーザー』は当然として、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』にところどころ似ていることにおどろいた。『愛と精霊の家』(1993)、ビレ・アウグスト監督。製作国はドイツ、デンマーク、ポルトガル。 出演はメリ…

おもいやり、記憶、引用、現実

ザカリー・シャセリオ目当てで観た『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(2013)。おもしろかった。ザカリー・シャセリオはチョイ役だ。生け垣に半身突っこんで倒れている脳梗塞の男の足にスケボーでぶつかり、迷った末に携帯で救急車を呼ぶ。 監督、セバス…

ザカリー・シャセリオ推し

新作『レザーフェイス 悪魔のいけにえ』がひかえている二人の監督ジュリアン・モーリーとアレクサンドル・バスティロ。これまでに『座敷女』『リヴィッド』、『ABC・オブ・デス』中の「Xylophone(木琴)」。 イメージありきの、緻密さやゲーム性を欠いたや…

バグは英雄になるけれど

原題は「My Soul to Take」(2010)。ビデオスルーとなったため邦題は監督の名を冠して『ウェス・クレイヴンズ ザ・リッパー』、かえってとっつきにくい結果に。 きびきびした会話を聴いているだけでウェス・クレイヴンの映画と判る。きっかけはかんたんだけ…

The Thing

『トロール・ハンター』にでてくるトロールたちの、信じがたい種の多様さとその造作から連想したのは鼻行類、ハナアルキ。 雪のなかの未知との戦いという画は『遊星からの物体X』に通じ、トロール、ハナアルキ、物体Xはいずれもただ生きてるだけで物語を必要…

カフカ的 権力 虐げられていることの笑い

2010年ノルウェーの映画『トロール・ハンター』。モキュメンタリーという手法のそもそものいかがわしさをうまくとりこんでいる。先ず取材対象となる人物が胡散臭い。クマの密猟云々と言ってでてくる死骸が、ストーリー上では本物だけれど画としては明らかに…

「『行水の女に惚れる烏かな』」「何です?」「いや、高浜虚子の句だ。虚子もきっと、マドンナを見たんだな……」「何をです?」「おまえは綺麗だな。気が付かなかった」

1975年の映画『吾輩は猫である』。監督市川崑。脚本八住利雄。 伊丹十三演ずる迷亭がパアパアパアパアしゃべるところから映画ははじまる。猫は、とりあえず口をきかない。 家の主人・珍野苦沙弥の仲代達矢がとても佳い。まわりの演技や世界観を受け入れなが…

「嘆かわしい……あああ、嘆かわしい」「あん? なにか言うたか?」「ああいや、城中どこでもブンチャカブンチャカ。あっちでピーヒャラドンツク、こっちでもピーヒャラドンツク。じつに、嘆かわしゅうございます」「まあ、良いではないか。それを騒騒しいと思うのは、そちが何も出来ぬからであろう?」「ご冗談を、殿。こう見えましても、この九郎左め、山鹿流陣太鼓免許皆伝の腕前にござります」

筒井康隆原作、岡本喜八監督の映画『ジャズ大名』(1986)。乾いているが、硬ばっていない。ギャグやセリフが大人である。脚本は岡本喜八、石堂淑朗。 聡明で好奇心旺盛な藩主を演じるのは古谷一行。まわりに財津一郎、殿山泰司、ミッキー・カーチス、唐十郎…

舞台は1960年代の、スウェーデン。

パートナーはいない。一人娘をそだてながら、電話交換手をしながら、ジャズシンガーとして夢をつかもうとするモニカ。これだけでくるしくて泣けて仕方ない。物語が要らないくらい、じゅうぶんに生活と夢がある。 伝記映画『ストックホルムでワルツを』(2013…

あらゆるものをつなぐ

ミュージカルライブ『ビリー・エリオット 〜リトル・ダンサー〜』(2014)。主演エリオット・ハンナ。初演は2005年、原作映画『リトル・ダンサー』は2000年。 10年以上愛されてきた作品に、ライブビューイングのカメラが入る。出演者ばかりでなく観客の熱も…

廣木隆一監督の『僕らは歩く、ただそれだけ』(2009)を一寸連想。女子や男子がふらふらしている。

『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017)監督、石井裕也。 石井裕也×池松壮亮にはドラマW『エンドロール〜伝説の父〜』(2012)、『ぼくたちの家族』(2014)などある。 石井裕也と松田龍平は『舟を編む』で。 そういうふうに、ならべていくと視え…

オスカー・アイザックの演じたキャラクターくらいではメインを張れない群像性。そうでありながら対話劇。良きコスチュームプレイ。

『スターウォーズ/最後のジェダイ』観る。脚本、監督ライアン・ジョンソン。時代劇というよりはWWEプロレスか。スター・ウォーズやSFやアメリカンプロレスが表出する“人種のるつぼ”は時代と共に変わっていく。すごく現代的だった。多士済済であるためにスト…

「国境は関係ない。宇宙飛行士になりたいだけ」と、小学生のおんなの子たち

原題は「SPUTNIK」、ソ連の人工衛星スプートニクだ。地上は東西冷戦によって分かたれ、示威のためには宇宙を目ざす必要があった。 スプートニク1号の打ち上げ成功は1957年。アメリカによるアポロ11号の月面着陸が1969年。それから徐徐に、仮想敵国を意識した…

「おれの父親がもっとマシな人間だったら……」「いまのあなたはいないわよ。あなたって、学校や町の誰とも違っている。それはお父さんのおかげだわ」

じつはいま、「なにかが起こっている」…… 『モンスタートラック』(2016)、油井から未知の水生生物が飛びだし、2体は捕獲したものの、のこる1体はどこに? きっかけはこのようなかたちで、採掘する企業が「追う者」として物語ははじまる。高校生の主人公(…

「なにか困ったことがあるたび電話してたら日が暮れちまう」

『だれもがクジラを愛してる。』(原題 Big Miracle)、2012年の映画。実話。舞台はアラスカ、1988年、大統領はロナルド・レーガン。 コククジラの救出の中心に自然保護団体グリーンピース、というそれだけで拒否反応をおこすひともいるけれど、どんなもので…

途中、いろんなひとと出会う。取材する。ときには共に歩く。

ジョン・ミューア・トレイル踏破のドキュメンタリー『Mile... Mile & a Half』(2013)。 およそ4週間かかる340kmの自然道。補給のための合流箇所もあるし、どんなハイカーでもチャレンジしやすい。仕事を休む必要があるけれど。 監督はジェイソン・M・フィ…

共依存すれすれ。サイコスリラーだから、その関係が壊れなければ先に進めないけど。

『ABC・オブ・デス』の一篇「Youngbuck」のことをずっとかんがえている。鹿狩り。銃と自然と残虐性。アメリカ人のなかには狩りにある種の興奮を見いだすひともいる。ハンティングにおける極度の興奮を性的な残忍さと結びつけるのは分析としてはありそうなこ…

「なぜ作家の写真は10歳若く見えるのか?」

『ミラクル・ニール!』(2015)、サイモン・ペグ主演、監督はテリー・ジョーンズ。会議する宇宙人の声にはジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、エリック・アイドル、マイケル・ペイリンも。 物語として登場人物を信じるおもしろさに加えて、モンティ・パイ…

「自然学者のジョン・ミューアが言っているよ。『パン一切れを持ち、垣根を飛び越えろ』」「垣根のなかはぬるま湯ってことか」

ロバート・レッドフォード主演の『ロング・トレイル!』(2015)、監督はケン・クワピス、脚本リック・カーブ(マイケル・アーント)とビル・ホールダーマン。製作には(もちろん)ロバート・レッドフォードの名も。 原作はノンフィクション作家ビル・ブライ…

完成は死だが魂は続く

26編のオムニバス『ABC・オブ・デス2』(2014)、良かった。おもわず買った。 テーマは「死」。そこには酷薄もあるし不条理もある。監督のえらびかたが巧く、バラエティにも富んでいた。 さいしょに仰天したのが「Badger アナグマ」。自然をあつかう番組のパ…

低予算だからグロい。それをさまざまなお色気でカバーしている。

『ABC・オブ・デス』(2012)、「死」をテーマにしたAからZまでの26本、短編ホラー映画集。 肌が合ったものから言うと、女体をまえに自慰をして、先にイかねばころされるリーグ戦「Libido 性欲」(監督ティモ・ジャヤント)。しゃべるインコがにんげんの浮気…

「DNAに蓄積してきたものが、僕たちにも伝わってるんだ」「トカゲであった頃からの記憶?」「陸上競技のトラックに立とうとする人間は、たぶん、物覚えのいい遺伝子を持って生まれてついてしまったんだ。追体験しようとしてるのさ。遠い昔の快感を」「セックスもおんなじ?」

1994年の映画『800 TWO LAP RUNNERS』。監督は廣木隆一。脚本加藤正人。 原作の小説は川島誠『800 (角川文庫)』。 川島誠は児童文学に《性》をもちこんだ野心的で魅力ある小説家であり、それが要るひと要らないひとで評価が分かれる。 映画も、のっけから体…

「接待とは五分と五分の力やす。競り合ってるときの決め手だす。力がちがうときには接待でごまかされません!」

とんねるず主演、森田芳光監督『そろばんずく』(1986)。 森田監督の映画には古典落語みたいなハナシと新作落語みたいなハナシがあるが、『そろばんずく』はもちろん後者。 あたりをやさしくつつむ円熟は、まだない。攻撃的な批評精神。それをひとは「わけ…

毛穴世界

『妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』(2016)。 ケータ役の南出凌嘉とカンチ役の福田徠冴がかわいい。エンディングで踊りきる南出凌嘉を観れたことでこの長編の価値はあった。 物語としては、冗長で展開がすくない。登場人物全員チ…

劇的、とは皆に見せ場があるということ。

『亜人』観る。いたいけな想像力で出来た物語。そこに乗っかってケレン味たっぷりに演じる綾野剛と、リアリズムで応ずる佐藤健。この対比は佳かった。 銃撃戦の凄さへと日本映画が進化していくのはマンガ原作が増えたためか。 深みのないキーワードをリフレ…

さいしょの発症には時間をかけて、場面転換すると被害が拡大しているという組み立てかた。

『ソウル・ステーション パンデミック』観る。韓国。アニメーション。ゾンビ映画。監督ヨン・サンホ。 しがらみや、執着。人間関係をしっかり描くからただの追いかけっこにはならない。その関係も正しさを説くようなものではなくて、DVのヒモがヒロインをま…

〈この幸福の種子は 鳥・猫・犬 それに人などによって あちらこちら、はるか遠くの町までも連れてゆかれます。時には、高架線をくぐり、踏み切りを越え、夜の電車に乗り、よその町まで連れてゆかれます〉  三好銀「静かなおみやげ」

野嵜好美と宇野祥平がでている横浜聡子の短編『おばあちゃん女の子』(2010)は気がかりなタイトルで、さいごに参考作品として高野文子「田辺のつる」が挙げられれば成程すとんと腑に落ちる。 併せて挙げられるのが三好銀「夜の電車」。 「あのね…実はね、お…

daydream

ミシェル・ゴンドリー監督『恋愛睡眠のすすめ』(2006)。ものをつくろうとする若いおとこの奇矯さ。それが天然だけにつらいが愛しい。 ものつくるにんげんにかぎらないのかもしれない。愛情に飢えたおとこの手に負えなさ。 ステファン(ガエル・ガルシア・…

歯向かわない人

2026年の映画、横浜聡子監督『俳優 亀岡拓次』。原作は戌井昭人の連作短編小説。 原作をもちつつも横浜聡子の映画になっている。だから、小説も読んだ。映画の脚本というのは、いくつもの短編をひとつにまとめるときに力を発揮するのかもしれない。小説の文…

だんだんおもしろくなる映画。しっかりつくってある。二度観ると、丁寧な仕事におどろく。

腹話術人形と腹話術師の物語。2007年のホラー映画『デッド・サイレンス』。 あたらしいせかいをつくろうというよりも、これまでにあったせかいを完成させようとしている。 へんな話だけれども、ある種の共感を得ようとしている。監督ジェームズ・ワン。脚本…