詩
岡田幸生の句集『無伴奏』。はじめに刊行されたのは1996年。文庫サイズの新版を、御本人から買うことができる。 「序」で北田傀子が書いている。 〈短時日のうちに随句(自由律俳句)というものの、いわば息遣いがのみこまれたようで、私は目を見張る思いが…
白露に薄薔薇色(うすばらいろ)の土龍(もぐら)の掌(て) 川端茅舎 蟻と蟻うなづきあひて何か事ありげに奔(はし)る西へ東へ 橘曙覧 〈『うたの動物記』は二〇〇八年十月から、二〇一〇年十月まで、日本経済新聞の毎日曜の文化欄に連載されたエッセイで…
『あんのリリック 桜木杏、俳句はじめてみました』後編。 夏川結衣演じるクリエイティブディレクター・塔矢ローズゆりのもつ温情と残酷さがいいかんじ。翻弄される昴と杏。 昴は、先輩の神谷(毎熊克哉)から「そもそもおまえは、あの子を連れ回して、どう仕…
ドラマW『あんのリリック 桜木杏、俳句はじめてみました』。脚本・荒井修子、監督・文晟豪。原作小説にいくつものドラマを盛りこみ、見ごたえがあった。 原作でも象徴的だった〈優しさはときにはみ出し桜もち〉の句がきれいな導入である。 桜木杏(広瀬すず…
中原中也記念館の企画『今、読む、中也。』配信視聴。出演は伊藤比呂美と高橋源一郎。ゲストに、第26回中原中也賞受賞の小島日和。 近代詩と現代詩がいっしょに入ってきた高橋源一郎の十代。田村隆一、吉本隆明、中原中也、ランボー。 深刻ではなかった。…
何年もかけて読了。関川夏央『現代短歌 そのこころみ』。いい本だった。2月26日に二・二六の箇所を読めた。斎藤史。 巻頭は「斎藤茂吉の最晩年と青年時代の中井英夫」。 短歌ほろべ短歌ほろべといふ声す明治末期のごとくひびきて 斎藤茂吉 「生活即歌、と誰…
わたしにわかっていることは、人はだれでも決して自分には賭けない、ということである。骨牌はいつも比喩を超えて実在し、偶然の至福を受けるのはカルタであって、ジョーカーやクイーンはますます美しく、そしてそれをめくる手の方はテーブルの片隅で少しず…
シンポジウム「『フランスBL小説セレクション 特別な友情』刊行記念 仏文×BLのただならぬ関係」に行く。 このアンソロジー『特別な友情』は、映画『悲しみの天使』の原作であるロジェ・ペールフィット『特別な友情』の本邦初訳がウリなのだけど、抄訳にとど…
伊藤比呂美 文、片山健 絵『なっちゃんのなつ』。 ともちゃんちに あそびに いったら だれも いなかったので なっちゃんは ひとりで かわらに でかけました 書きだしから、やられる。はじまっている。詩は、こどものつくるぼうけんものがたりに近い。 省略も…