大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

配信

ひとつの場所の行間、余白。

『ショウ・マスト・ゴー・オン』。初演は1991年。脚本・演出、三谷幸喜。 代演がつづき、公演中止の日もでた令和版。配信も一度は中止になってからの、追加公演と、配信。 ワン・シチュエーションのコメディ。舞台となるのは「舞台の現場」。といって舞台上…

恋はケレン

サイモン・スティーヴンス作『ハイゼンベルク』。 75歳の男と、40代の女。出あった二人の距離が近づく。色恋を支えるのは純粋な動機ばかりではない。打算もあろう。それをあいてが容れてくれるか、また自身で認められるかどうか。そういう会話劇であったよう…

〈冬の木がきょねんのようには見えぬこと ほっとよろこんで ただすぎてゆく〉  今橋愛

永井 私がいちばん思ったのは「上がるから、下がる」んだなあということを、思うんですよね。なんか20年やってると、すっごいやる気あった人ほど、なんかに失望しちゃうと。 石川 あー、やめちゃうとか。 永井 離れちゃうとか。やっぱそういうことってあるん…

「だからってすごすごと、脇役になれって? 冗談じゃないわよ、わたしはね、どこにでもいる主婦とはちがうの、特別な人間なの」

「夫人。あなたには家庭がある。ただの主婦に、もどればいい」 「それがもの足りないから……踊ってたのよ」 「大阪御ゑん祭 『夫人マクベス』」(2019)。マクベス夫人としての近藤芳正を軸に、起承転結、4つのユニットのオムニバス。 【起】テノヒラサイズ「…

「さみしい音だが、匂いは佳い」

山田裕貴、松雪泰子の『海王星』。 「寺山修司が『天井桟敷』結成前に書いた未上演の音楽劇を新生PARCO劇場でついに初演!」とチラシに。古典と呼んでもいいが、若書きである。 物語から連想されるのは宮沢賢治『銀河鉄道の夜』やツルゲーネフ『はつ恋』。そ…

「情熱をうしなったというよりは、情熱を理想化して、凍りつかせてしまったと言ったほうがいいのかもしれない」

ケムリ研究室no.2 『砂の女』(シアタートラム)。主演は緒川たまき、仲村トオル。ほかにオクイシュージ、武谷公雄、吉増裕士、廣川三憲。声(とシルエット)、町田マリー。音楽・演奏、上野洋子。 原作は安部公房の小説。濃密かつ映像的な世界がみごと演劇…

安部公房『友達』

配信、シス・カンパニー『友達』(新国立劇場・小劇場)。安部公房原作の、典型的な不条理劇。《疎外》をかんじている孤独な青年の部屋を、まったく面識のない大家族が訪れ、住みつく。監視と監禁。ドラマの密室性を高めるためには部活や会社などよりも都合…

〈柱も庭も乾いている/今日は好い天気だ〉

中原中也記念館の企画『今、読む、中也。』配信視聴。出演は伊藤比呂美と高橋源一郎。ゲストに、第26回中原中也賞受賞の小島日和。 近代詩と現代詩がいっしょに入ってきた高橋源一郎の十代。田村隆一、吉本隆明、中原中也、ランボー。 深刻ではなかった。…

「これが善六先生の心意気」  『御神酒徳利』

渋谷らくご2月13日、14時の回。 出演は三遊亭好二郎、立川談吉、快楽亭ブラック、柳家小せん。 録画した落語の番組が溜まる一方なので、町の落語会を覗いているばあいでないともおもうけど、所属の異なる四人、立川談吉も快楽亭ブラックもいる。これは聴かな…

「古典がやっぱり、すごいですよね。あのう、なんか、よく出来てるんですよ……」  松本幸四郎

『春風亭一之輔のカブメン。』落語とトーク。 ゲストは松本幸四郎。そのリクエストで、春風亭一之輔は「死神」を演る。 新春のネタではないと一之輔は言うが、松本幸四郎は、いま演るべき話だと満足そう。カネに目がくらんでノリを越えてしまうニセ医者の、…

カムカムミニキーナ『猿女のリレー』

さいしょのばめんは、個人書店。わけあって全焼する。大変だ。関係者の死や、失踪。えがかれるの時空を超えた「リレー」だ。 カムカムミニキーナ『猿女のリレー』。浅草九劇経由で、配信視聴した。 天照大御神の岩戸隠れ。そのまえで踊った「猿女」・俳優(…

「信じられないものは、事実じゃないんです」

大鶴佐助・大鶴美仁音ふたり芝居『いかけしごむ』観る。有料生配信。60分。 台本は別役実。街の深いところ、どんづまり。だれも訪れないようなばしょに女がひとりいる。そこに、逃げてきた男。 「ココニスワラナイデクダサイ」という注意書や「いのちの電話…

「この自然界には、原因のない作用はありませんから」

配信サーフィン。鈴本演芸場の昼席をすこし観て、それから浅草九劇オンライン、柄本明の『煙草の害について』。 移動に時間をつかうことなく、つくられたものを渉猟できる。本や映画ではない。舞台でそれができるようになってしまった。 落語は、かなり厳選…