大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈表面だけ演じることで わかってないふりをしていたかった〉

PEYO『ボーイミーツマリア』、BL、すごかった。 生きのびるために「薄っぺら」な反応をしていくことをえらんだ大河(たいが)が、女装する演劇部員・優(ゆう)と出逢う。それこそ「薄っぺら」に、どこまでもつづけられそうなラブコメとして展開するのかとお…

「うしろ弁天まえ不動」

『吉祥寺寄席』行く。第55回。 登場したのは春風亭一猿、春風亭三朝、ゲストに栗林祐輔(能管。笛方森田流)。仲入あって八光亭春輔。 春風亭一猿、いまは前座だが5月に二ツ目昇進の由。演ったのは「半分垢」。 この噺はおもしろい。娯楽のすくない時代とい…

〈地盤が凍ったりとけたりをくり返すうちに、建物は土台からねじれ、ひん曲がっていくのです〉

Amazonプライム・ビデオ『MAGI 天正遣欧少年使節』の大作志向は、かつての日本映画に似ていた。それでずっと「海が、凍る……」と呟いて暮らす。これは『おろしや国酔夢譚』の台詞。 米原万里『マイナス50℃の世界』は、テレビ番組の企画で大黒屋光太夫の足跡を…

ぜんぶわすれたくなること

志村貴子『さよなら、おとこのこ』第2巻。 ぜんぶわすれたくなるとき、たぶんある。すべての関係を絶ちたいとか。その表れの一つとして、子どもになりたいとねがうというか、子どもになってしまう。 心の声というやつもでてくる。ナチュラルな絵だから舞台設…

生首。森がうごくこと

ナショナル・シアター・ライブ『マクベス』観る。冒頭に制作者の解説映像あり。 もともとの舞台は11世紀。「超自然的な力を信じた時代」である。設定はそこから近未来へと変わる。 現代のイギリスがかかえる問題をかんがえると欧州連合、多民族、他宗教、経…

反復のようで、一期一会。

検索上位にでてこないマイナーな旅を思い立つ。観光地の、先の先。ローカル線の行き着くところ。路線図調べて、それから『旅の手帖』をチェックして、手ごろな宿があるのかどうか。 『旅の手帖』は電子書籍で買えて良い。行きたいところを扱っている号をすぐ…

ミ・エスタス・インファーノ……(私は子どもである……)

舞台のチケットと縁なく、ときに主演の松田龍平を想いながら読む。松田龍平が宮沢賢治というのは大胆なイケメン化のようにもおもうけど、茫洋としたかなしみはあんがいぴたりと合ったのかもしれない。 井上ひさし『イーハトーボの劇列車』。前口上に、こうあ…

松尾芭蕉と温泉

嵐山光三郎『奥の細道温泉紀行』。テレビ番組で「奥の細道」自転車走破を企んだり、月刊『太陽』で「温泉・奥の細道」を取材したり。それらを再構成したかたちで、この本がある。 〈芭蕉は旅の魔術師である。(……)これは、旅をドラマに化けさせるマジシャン…

「芭蕉翁は生涯を通じて、『一人になりたい、一人になろう』とつとめた人物でありました」

井上ひさし『化粧』。収められているのは表題作と、「芭蕉通夜舟」。どちらも一人芝居のための戯曲。 井上ひさしの戯曲はハッキリしている。観客という「受け手」にとっても、俳優なる「受け手」に対しても。 「化粧」は、はじめのト書のなかに〈彼女自身が…

〈結論めいたことを言ってしまえば、日本人には「悠長なシステム」を構築して、洗練された「時間の無駄使い」をする才能があるのです〉

橋本治が亡くなった。2019年1月29日。 「橋本治」という一人の書き手としてはまだまだ進んでいけたとおもうし残念だけれど、どれだけ長生きをしても接ぎ木する若手は現れなかったことだろう。エピゴーネンばかりだ。 橋本治の本を読んでいくしかない。その断…

「今一番欲しいものは?」「役者としての想像力が欲しいです」

ひとの裸身よりも顔が愛しい。整った顔。さらにはそれを整えた顔。 置き場に困るので買わないことにしているけれど、新田真剣佑の写真集はちがった。隠しわすれて訪問客にイジられるようなときがあっても「だって、綺麗でしょう?」とつよくでたい。若いだけ…

タピオカ、御殿場、シュークリーム

『裸の少年』は猪狩蒼弥、井上瑞稀、高橋優斗。 猪狩蒼弥は、派手。冬物で印象がつよいのは、かわいい。 ゲストに的場浩司。 一軒目は「林家新兵衛」。外套ぬいだらえらくかわいい井上瑞稀。二軒目「SALON GINZA SABOU」。メジャーどころがつづく。 三軒目、…

かくじつな光

元木湧くん、長尾謙杜くんの笑顔とダンス観るとしあわせ。よくしなる。鞭のような。 佐藤龍我も綺麗。明るく、メリハリがあって、清潔由来の色気がある。 『ザ少年倶楽部』。美 少年がうたいはじめる「Anniversary」から。佐藤龍我が眼にやどす感情の豊かさ…

「ボクあの手法は好きやないなぁ…」「何?」「脅迫系」

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』。好きで読んでる。温かなリアリティ。おかずくんがゆるやかに関西人で、大しておもしろいことも言わぬなど、レッテルからの逸脱が、関係性を生んでいる。 感情の濃淡がひとそれぞれにあるだけで、俯瞰すれば皆おな…

「おれなかなかNEWSの番組に行くことないから、あ、こういう空気感なんだって」

『ザ少年倶楽部 プレミアム』、ゲストの藤ヶ谷太輔を堪能。 野生の匂い。それでいて優等生なところ。 清潔に保ち、警戒心を怠らないタイプだからこそ優等生になれるのだろう。優秀さと野生は矛盾しない。 あいてをじっと見る。すくないことばかずで印象をの…

一年前の『週刊少年サンデー』、となりに。

アイドル雑誌とちがうのは、記事が断片として終わることなく起伏をもち、はっきりと承認をもとめているということ。King & Prince、『週刊少年サンデー 2019年4・5合併号(2018年12月26日発売) [雑誌]』 。 永瀬廉が座右の銘を聞かれ「マザー・テレサの『思考…

なんどでもながめる。

「これだけはやめられないことはありますか?」 「動物の咀嚼音を聞くこと。たぶん僕って音フェチで(笑)、落ち着く」 『メンズノンノ』2019年1月号、平野紫耀。 「寝る前は何をして過ごしていますか?」 「ラクダがサボテンを食べる動画にハマっていて、そ…

二〇二〇年に、二〇日連続公演をする由

桂文珍独演会『一期一笑 ジャパンツアー』行く。 開口一番は桂文五郎「延陽伯」。丁寧で標準語寄りな文珍師とちがい、はっきりした大阪のことば。熱演で、上方落語の会に来たんだあと嬉しくなる。 「延陽伯」は東京でいう「たらちね」。馬鹿丁寧な口調のおか…

毒蝮三太夫が席亭の『マムちゃん寄席』(第十五回)に。 出演は林家二楽(紙切)、松元ヒロ(漫談)、神田松之丞(講談)。仲入あってナイツ(漫才)、毒蝮三太夫と玉袋筋太郎の対談、さいごに春風亭一之輔(落語)と、豪華。 TBSラジオつながりと言うことも…

「夏休みにガラッと人生変わった」 井森美幸

井森美幸が好きなので、ゲストで登場の『裸の少年』悶絶。 井森美幸と平野紫耀が似ていることに気づく。二人とも笑みを絶やさずに、しゃべる。ひとに優しく生きようとしている。 吉田戦車の短編の一つに「戦え! 井森美幸」というのがあったけれど、いま電子…

光の如く

永遠と、どのように向き合っていくか。そのやりかたのひとつに《Sexy美少年》というグループ名があるのだとおもった。 少年隊のように、素っ気ない。普通名詞に近くて、だけどしらべればちゃんと釣りあげられるぎりぎりのところを攻めた固有性。 《Sexy》は…

〈奔放で軽やかな オレとは正反対の男なら〉

この読後感の良さはなんだろう。ジョゼ『from 2DK』。3編。それぞれに描き下ろしのみじかい後日譚。 BLだからこそ、まだゲイ関係にないおとこの子たちの同居生活をえがける。なにも起こらないのに、クローズアップされる。描写される。 ひとと暮らすのに、き…

「若菜 オレ喜ばすのうますぎる お前の言葉ウソがないから」

佐藤龍我と高橋恭平! とおもいながら読んだ。BLに、こういう取り乱しかたをしたのは初めて。ジャニーズJr.をかさねるなんて。 肌の匂いと体温。なまなましさがあるのは、省略が効いているせいだろうか。裸を描くのも上手い。 濡れ場はすくない。ノンケが、…

「青二才の傲慢さほど、醜いものはない」

冒頭で桂文枝、オール阪神、ジミー大西、笑福亭鶴光など芸人わらわら現れて、キャストがにぎやかなだけの映画かとかるく観はじめるが、なかなか、どうして。 映画『のみとり侍』(2018)。原作は小松重男(1931−2017)の短編集『蚤とり侍』。 助平だけでは、…

〈一人ぬけた二人ぬけた三人ぬけた四人ぬけた五人ぬけた 青空には だれもいなくなっちゃった〉

演劇実験室◎万有引力『狂人教育』観る。万有引力を、ずいぶんながいこと観ていなかった気がする。あるいは多忙といくつかの冷淡な批評のためにわすれてしまっていたのかもしれない。 しかし素晴らしい出来だった。さいきん万有引力を観ているというひとにチ…

「一度こうしようって決めたら、やらないと気が済まない。それでダメなら、早く次の道を考えたくて」

雑誌で見るとかっこいい。うごくところはかわいらしい。それがジャニーズかなあとおもう。 「プレッシャーを感じている顔でお客さんの前には立てないし」と平野紫耀。大人たちはこのひとの闇を見定めて愛でる。 『アンアン』。平野紫耀「掴みたい、掴めない…

〈人はただ初一念を忘れるなと申し上げとうござります〉  大石内蔵助

写真・操上和美、文・新井敏記。八代目 市川染五郎『儚』。 舞台に立つと、自分の声がよくわかります。 声変わりは辛かった。 父からは、「自分も他の役者さんも 通ってきた道、病気ではないので 安心して演(や)りなさい」と言われました。 ものごころつい…

語られぬところにも欲望はある

老女が、煙草を吸う。だれにもたよらぬ気むずかしさをみるようで、出だしからかなしい。それでもここまで生きてきたのだ、というところに救いもある。 スウェーデン映画『サーミの血』(2016)。十代のときの家出と、恋。 観光客相手の職業性や、文化人類学…

「もう後戻りはできない。新天地に行くか、川に沈むか」

『レミングスの夏』(2017) えがかれるのは、14歳の夏。それを18歳の「僕」が回想するかたち。ある復讐を達成し、「僕」は待っている。 「僕」の名はアキラ(菅原麗央)。おもいだすのはナギ(前田旺志郎)のこと。 前田旺志郎が好い。「行動力」と「迷い」…

〈RPGゲームの『竜に誘拐されたお姫さまを助けたい』ってのは、大きな目的だ。でも、こいつ(中ボス)を倒したいとか謎を解きたいとか、具体的な目的は、そのたびに変わるんだ〉

鴻上尚史『鴻上尚史の俳優入門 (講談社文庫)』。2006年にでた『俳優になりたいあなたへ』に「おまけ 台本の創り方」、高橋一生との対談「原点は『お芝居したい』という衝動」を加えた文庫版。本編は「僕」が、新幹線のなかで高校生のユキちゃん、マサシ君と…