大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

OUR FUTURE

深夜寄席
古今亭始「近日息子」、柳家小んぶ「浮世床」、林家彦丸「首提灯」、柳亭こみち「小間物屋政談」。


柳家小んぶ──四角四面で、丸い。外見で客を緊張させつつも、融通が利く、笑える、それもスラップスティックに。いかにも柳家というかんじ。ひとを緊張させない落語家はだめだ。


いまはまだ上品すぎる林家彦丸。ハナシが、情報に留まっている。品をどこまで洗練させるか、そこに血肉をあたえられるか。品が官能なのだから、磨きあげれば凄いこと。途上。「首提灯」は血腥くて、シュール。斬り捨てられても生きている。そんなことがあればいいなとおもう。いろんなひとの「首提灯」を聴きたい。そしてまた彦丸にもどってみたい。


柳亭こみち「小間物屋政談」。
垣間見えるだけでいい。どこかになにかの覚悟がほしい。保身とはちがうかたちで守り抜くこと。それはカネかもしれないしカゾクかもしれない。イノチをトスということかもしれない。飛びこむ。密林に。大海原に。柳亭こみちは良かった。噺も好い。「政談」はようするに美談だ。けれど多くの「政談」がグロテスクなばめんをもっている。「小間物屋政談」では死体を掘りかえす。これが、「首提灯」からつづくと印象ぶかく、しかし噺の展開はバカバカしい。落語だなあ。
「近日息子」「浮世床」「首提灯」、どれも落語。それをみごとに集約したかたちの「小間物屋政談」。全体にパラパラと、小粒に多様な夜になりそうだったが、柳亭こみちがまとめあげた。


古今亭始。いびつなところがあると好み。