大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈あれを撮ろう、これを撮ろうと欲張る人は、まずいいものが作れない〉

ムツゴロウの娘よ (文春文庫) 畑正憲ムツゴロウの娘よ (文春文庫)』。〈娘に手紙を書く気持で綴ったのがこの本である〉──それは一つの方法であり、語りかけることでキザにもなるけれど、映画や、麻雀や、小説のことなど、畑正憲の世界観を一望できる一冊ともなる。

さてUFOというものもあるが、もう一つ、未確認動物というのがある。ネス湖ネッシーが代表選手で、日本にだって、イッシーだとか、テッシーだとか、その種の情報がごろごろしている。
あれにはどうも信じられないところがある。生物がいる生臭さが感じられないからだ。
大体がだ、巨大な生物の影がチラと見られるだけというのがおかしい。動物がいればすなわち、恋もすれば子供も産む。ネッシーの繁殖期にはオスがメスを追いかけ、ネス湖の湖面が異様に波立っても不思議はない。もし子を産むのだったら、たまには流産するだろうし、胎児が流れついたっていいはずだ。卵生だったら、岸に卵を産みに何故こない……。

未確認動物の非実在性についての切りこみかたが藤子・F・不二雄とは少少異なる。個体数から発情へと話が横辷りするのが畑正憲なのだ。