大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「〈殺しのライセンス〉は〈殺さないライセンス〉でもある」

『007 スペクター』、ずうっと笑いながら観た。洗練の果ての野蛮なのだ。世界にはまだ泥くささがのこっている。「情報」という言葉には洗練だけがあるけれど、「諜報」は泥くさい。官僚的、グローバリゼーションといったかたちで007たちが否定される。部門は閉鎖されるだろう。だから、007たちは泥のなかであがく。眼を血ばしらせたって勝機はない。笑えるくらいな計画性。あるいは計画的、合理的であることの可笑しさ。


監督、サム・メンデス。イギリスだ。演劇だ。カメラワークが優等生で、寄っても、引いてもなにが起こっているのかわかる。脚本はジョン・ローガン。やりとりはなめらか。もたつかない。
ダニエル・クレイグ、レア・セドゥの健康なのに哀しい美しさが好い。そしてクリストフ・ヴァルツがかわいい。
禽獣の執念ぶかさとコドモの計画性。クリストフ・ヴァルツ演じるフランツ・オーベルハウザーにぞっこん。夢に見る。