大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「屈み女に反り男」

『吉祥寺寄席』「祝10年! 昔懐かしい飴細工と落語で春をお迎え!」行く。
開口一番に春風亭一猿。つづいて今春に真打昇進の林家彦丸。水木貴広による飴細工の実演(おみやげ付き!)、仲入あって立川龍志


狂気がなければ野蛮さを、野蛮さがなければ怒りを、怒りがなければ速度を持てなどということをかんがえながら聴いた。
芸事で「綺麗」と評することがあるけど、綺麗というものに綻びがないわけではない。むしろ危ない何かがある。


春風亭一猿「寿限無」。吉祥寺寄席のスタッフ出身。それが落語の世界に飛びこんだという。師匠にもよるのだろうけど、もっとキビキビしたほうが好みではある。ほかの咄も聴かねば。


林家彦丸、「三方一両損」。
落語は、演者一人を観ながら同時にたくさんの登場人物を視るものでもある。林家彦丸は「綺麗」で、たくさんの登場人物が視えてこない。
落語世界の住人には「ハリがある」とか「分別がある」といった、「〜がある」はずだ。その個体差を彦丸はあまり見せてくれない……。


立川龍志「妾馬」。前座の“凱旋”や彦丸の昇進からの、庶民の娘が殿様の男の御子を産む出世話。なかなかに縁起が良い。しかもネタ下ろしだとか。
笑わせて、泣かせて、すぐにまた笑わせる。御殿の広さをかんじさせる語り。すげえな真打。