三部作の決着、『アーサーとふたつの世界の決戦』(2010)。先ず狂っている。そして速度がでている。監督リュック・ベッソン。
丸まったダンゴムシのおなかにくるまれての激走をはじめ、疾走、滑走のばめんは多い。途中「どんな生き物にも『役目』がある。自転車のスポークだって、一本はずすだけで倒れてしまう」の台詞もあり、フランスは機械にも速度にも馴染みがある。しかも自然を手放さない。
魔王マルタザール(ルー・リード)が人間界へ。この孤独や奇妙さはファンタジーだ。
美容外科に行って、
「昔の顔をとりもどしたい。若くて、ハンサム。誇り高く、勇敢な戦士。いかなる国や女性も征服できた。だが今や、見る影もない醜い姿」
マルタザールはじぶんが何をうしなってきたかもわかっている。
アーサー(フレディ・ハイモア)の母親(ペニー・バルフォー)はだいぶよわくて奇天烈で、だからというか、だけどというか、わが子からのメッセージだと直感したときの理屈抜きの支配力がすごい。
マルタザールの不肖の息子ダルコス(シムハ・バルビロ)。声もキャラクターも好い。