大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「安全というものは存在しない。人生は危険に満ちた冒険か、まったくの無。」  ヘレン・ケラー

テスター・ルーム
2014年の映画『テスター・ルーム』、原題はThe Quiet Ones。
ティーンが登場するホラーというよりも、青春期におけるホラー。舞台は1974年、オックスフォード大学の研究室。なかなか好い。オカルト系の映画は設定のどこかに時代的な古さが要る。70年代。古さもあり、ファッションや音楽もすこしだけ70年代しており、だから青春で、性的な放逸に好奇心に生真面目さもうなづけて、かたちとしてはとても綺麗。


「ジョセフはわたしを救ってくれたの。わたし自身や、あなたたちから。……男たち。不満をかかえた暴力的な男たち。わたしに触れる代わりに、痛めつける。からだじゃなくて、こころに苦痛をあたえてくるの。くるしむわたしを見るために」
権力を行使できる横暴な男性性への言及も、愛しい。男性教授のいかがわしさ。
監督、ジョン・ポーグ。


アトラクション、お化け屋敷のようにアトクサレなく日常に還してくれるホラー映画もある。それよりもやや怖くて、この物語はあなたの隣のことですよというホラーがあり、『テスター・ルーム』はこちら。
「事実を基にした物語」という煽りを信じるわけではないけれど、この映画はエンドクレジットで「実在の人物とおぼしき」写真が何葉か提示され、観ている者の日常にホラーがのこる仕掛け。かわいい。
「怖がらせよう」もあるけれど「さいごまで騙そう」という心意気。ここ。