大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

こんな子いたな。こんな子いるよな。

ブルーラグーン ~恋の目覚め~ [DVD]
ブルーラグーン ?恋の目覚め? (字幕版) 朝、目覚まし時計で起きる──小説の書き出しならば退屈極まりない「日常」が映画の冒頭になるとどうしてこうもドキドキするのか。
ブルーラグーン 〜恋の目覚め〜』、2012年のテレビ向け映画。リメイク作。ブルック・シールズ主演(1980年。ミラ・ジョヴォヴィッチ主演による続編は1991年)のロビンソン・クルーソー的な起伏ある展開に比べると、もっと無邪気で、そのぶん美しい。
今作のヒロインはインディアナエヴァンズ。あいてのおとこはブレントン・スウェイツ。


高校生。プロムクイーンとローンウルフ。ギークだけが非モテではない。まわりと距離をとりながら、肉体の鍛錬だけはしっかりしている男子。性的衝動をオープンにしないタイプはけっこういる。
この二人、エマとディーンが無人島に漂着する。エマは人気者で両親からも愛されている。ディーンはクラスで浮いているし、父との仲もいまひとつ。
恋愛としては定石の好対照なのだけれども、十代ならば特に、じぶんとはちがう育ちのにんげんとセックスに到るのはむずかしくて、そのばめんをどうつくるだろうと観ていたら、巧かった。
白骨化した先住者をみつけるのだ。そこにじぶんをかさねて恐怖するエマに、きみは孤独じゃない、いまも必死できみのことをさがしている家族がいるし、ぼくもきみを守るとディーンが言う。そのことばからエマは安心をもらうばかりでなく、ディーンの孤独をかんじとりもする。あとは性的心地よさへと溺れゆくのみ。
翌朝に死体を埋葬するディーン。ここで母の死がきちんと語られたりして、なかなか佳い。
ディーンはこのまま永住するのもいいんじゃないかという気になる。それに話を合わせながら「そんなラストたまったもんじゃねえ」とおもっているエマがリアルに女子で。衝突するのは必然だけど、それは救出される直前で、登場人物たちに優しい。
ギスギスはすぐにわすれること。たいせつだなあ。
無事に帰国できてからの、後日談。ここをえがかないと、ラブストーリーとしては中途半端。ディーンの「やっぱりな。『夏』は終わったんだ」のセリフと映画の残り時間を見てハッピーエンドを期待しつつも、十代の失望のおおきさを想って胸が痛い。
監督ミカエル・サロモン。