大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「自分ですら忘れている過去の記事と今の僕を比べて、手紙で変化を気づかせてくれる。ファンなしでは、僕は何もないただの男」  岡本圭人

BRUTUS(ブルータス) 2017年 3/1号[平凡ブルータス]
BRUTUSアイドル雑誌を作ったら! 平凡ブルータス」──『BRUTUS(ブルータス) 2017年 3/1号[平凡ブルータス]』。
企画としても良いが、出来も良い。『GQ JAPAN (ジーキュージャパン) 2017年03月号 [雑誌]』のお笑い芸人特集とか、出来のヒドいケースはいくらもある。


「平凡ブルータス」の非凡なところは、しっかり回顧しているところ。すべての企画は「未来」や「希望」や「卵」にまつわるものだろうけど、ただ新しいというだけでは煽ることしかできなくて、ハリボテの危うさを孕む。
受け手にもわかるかたちで上書きしてみせるのが物語ることの醍醐味だ。
先ず山田涼介をとりあげて〈昭和には瞳をダイヤモンドに譬えた歌が数曲あったが、この人の目を見ているとそんな表現も大袈裟ではないと思い知る〉。〈今が昭和なら、『平凡』の表紙を毎号のように飾っていただろう〉
高木雄也についての〈無邪気と色気を無自覚に搭載〉がみごと。有岡大貴の〈神が授けたコミュ力〉も。


人形・スーパードルフィー佐藤勝利に抱かせる企画もなかなか。
橋本良亮の「今、俺ならではのヴェルサーチを探せって気分。ただ柄物を集めるだけじゃなく、いかに俺の好みを奇抜にしていくか」に唸る。守りのファッションならばだれにもできる。


実り多い一冊。
さらなる収穫は、亀和田武60年代ポップ少年』刊行を遅まきながら知ったこと。