ヒグチユウコ『ふたりのねこ』。
「ぼくは ぼっちゃんのところに帰りたい。
けれど、帰りかたが わからない」おうちの、ぼっちゃんの においをおもいだすと、
むねが ぎゅうっとなります。
ぼくは ひとりぼっちに なってしまったんだ…。「そのおうち、さがそうよ」
ねこがいいました。「いっしょに?」
「そう、いっしょに。
だから あたしたち、かぞくよ」
ぼくは考えました。
おうちがみつかったら、ねこも いっしょに くらせないだろうか。
このままだと、ねこは ひとりぼっちに なってしまう。ニャンコを だきしめながら、ねこもまた考えていました。
かぞくがいるって さびしくないし、とってもたのしい。
このままずっと、ニャンコが いっしょに いてくれないかしら。