俺は灰島かなで
いくつかのアルバイトをかけもち
小劇団に身を置く25歳
恋人の森田勇紀はバスの運転手をしている30歳
舞台の上では老人にもなるし
幼児にもなる
時には女になることだってある
30だろうと 60だろうと
学生や子供になり切るし
それが許されるのが舞台世界のおもしろさだ
肉体そのものは変えられない
変えられないはずなのだが……
志村貴子『さよなら、おとこのこ(1) (ビーボーイコミックスDX)』。ゲイカップルの一方がコドモになってしまう。そんな短編だったら変化した肉体のままセックスしておしまいだが、連載マンガ。《秘密》として持続していくことになる。
〈昨日までのオレの肉体は ちゃんと成人男性だったし 成人男性の身体で 成人男性の身体を 心ゆくまで貪ったのに……〉
《変身》譚だから荒唐無稽なはずなのに、登場人物の感情表現がしっかりしてるので、リアルな人情噺になる。