山と渓谷社、加藤則芳『森の聖者 自然保護の父ジョン・ミューア (ヤマケイ文庫)』。
ジョン・ミューアの伝記。日本ではなじみがうすいからどの出来事も等しくあつかっている。少年時代、青年期、壮年、といった具合にどこまでも。
神秘主義者ではなかった。だが、虫の知らせというのか《テレパシー》、山を降りて列車に飛び乗り、死の床にある近親者と会うことができたりした。
私は、百万長者になれたはずだった。しかし、あえて放浪者の道を選んだ。
〈ミューアは、明るく、快適な山と同じように、暗く、厳しい山も好きだった。暴風雨や吹雪、雷、霧など、ふつうの登山家だったら嫌うような厳しい環境もまた、ミューアには、山の喜びや楽しみのひとつなのである〉
もし、私が長い時間見つめ、かしずくことがなかったならば、おそらく山々はその表情を見せることもなかっただろうし、何も感じさせなかったに違いないのです。
その人生には奇跡的なこともたくさんあるし行動もする。どこをとりだすこともできるけれども、ここではBL的な読みをのこしておきたい。
「おそらく、森と水の問題が、現代のアメリカ合衆国の最も重要な国内問題だろう」と演説した第26代大統領セオドア・ルーズベルトとの交流──親愛なるミューアさん、あなたとふたりだけが希望です。私は政治をすっかり忘れ、四日間あなたと野外で過ごしたいのです──、ギフォード・ピンショーとの確執。
自然と産業に関する立場が一致しない三人。