大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「おれの父親がもっとマシな人間だったら……」「いまのあなたはいないわよ。あなたって、学校や町の誰とも違っている。それはお父さんのおかげだわ」

モンスタートラック(字幕版)
ジク (SIKU) リープヘル T264 マイニングトラック SK1807
LIEBHERR リープヘル 重機 T284

じつはいま、「なにかが起こっている」……

『モンスタートラック』(2016)、油井から未知の水生生物が飛びだし、2体は捕獲したものの、のこる1体はどこに?
きっかけはこのようなかたちで、採掘する企業が「追う者」として物語ははじまる。高校生の主人公(ルーカス・ティル)はべつのところに。自動車の回収、スクラップのアルバイトに就いている。未知の水生生物が摂るのは原油。それで生物と主人公トリップはスクラップとリサイクルの現場で出逢うことになる。
監督クリス・ウェッジ、脚本デレク・コノリー。難産の末に大コケした映画のようだけど、非常に佳い映画。ひと言しか科白のない端役にまで目が行き届いており(車椅子の黒人や、移民系の母子家庭)、無理なく最小限の会話で展開する。画の力。俳優も脚本をよく理解している。
登場人物をならべるだけでも気持ちが好い。いまの環境に不満があって、クルマをもちこの町をでたい主人公のトリップは母子家庭(母親に、エイミー・ライアン)。トリップは、母親の交際相手である保安官(バリー・ペッパー)を好きでない。実父はレスキュー隊員(フランク・ホエーリー)で、たまにテレビに映る。
謎の水生生物を通じて親しくなる恋人未満のヒロイン・メレディスジェーン・レヴィ)は自然科学につよい──家庭環境もそんなかんじ──保守的だが好奇心あふれる子であり、ばかでかいマシンでデートしたらきゃあきゃあ喜ぶようなノータリンでないのがみごと。映画のなかで恋愛関係はほとんど進展しないし。水生生物のクリーチに集中するようにできている。


パラマウントニコロデオン。ガッチガチのキッズムービーだろう。それなのに何で1億2500万ドルも製作にあてたのか……。『ヒックとドラゴン』的なヒットを狙って?
『モンスタートラック』の脚本は抑制が利いていて、抱き合うよりも熱い友情や深いかなしみをえがかない。水生生物だからひんやりさせたのかもしれないが。
序盤の母と子の会話、「帰りに何か買ってこようか?」「……この町を出るためのトラックかな」「ハンサムなのに女の子に興味ないの?」をみても凄いとおもう。恋愛こそが「この町」をでる方法という気もするし、いや結ばれて根を下ろせば「この町」に居つづけることにしかならないとかんがえさせられもして、推測であれ断定であれ言語表現は一面しか掬うことはできないが、余白や反対側を想像させる書きかたはできるものだと感心しきり。
追走劇としてストーリーはシンプルだけれどカーチェイスはどんどん過激になっていき、巨きなダンプトラック、リープヘルのT282Cが汚破損するばめんもあって(ここだけで幾ら掛かっているのやら)、なんなんだこの映画と笑い呆れ愛すほかなく。
愛しい。