大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈一人ぬけた二人ぬけた三人ぬけた四人ぬけた五人ぬけた 青空には だれもいなくなっちゃった〉

演劇実験室◎万有引力『狂人教育』観る。万有引力を、ずいぶんながいこと観ていなかった気がする。あるいは多忙といくつかの冷淡な批評のためにわすれてしまっていたのかもしれない。

しかし素晴らしい出来だった。さいきん万有引力を観ているというひとにチケットをとってもらった。そのひとが観ているいまの俳優陣と、かつて観ていた記憶とはだいぶちがっている。サルバトール・タリも亡くなった。あのひともいない、このひともいない。それでも強度は増していた。

戯曲としての『狂人教育』はシンプルなもの。6人の家族それぞれに偏執があり、じつは人形であり、かれらのまわりに人形使いたち。舞台には登場しないかかりつけの医師もいる。その医師が、この家族のなかに1人、キチガイがいると言った。疑心暗鬼。家族は少しずつおかしくなる……。

うそつき うそつき みんなうそつき

葡萄畑を掘りおこし

先祖の肖像画を埋めろ

うそつき うそつき みんなうそつき

壺の中には血がいっぱい

だから咲く花みな赤い

 

 

ミルク ミルク ミルクをおのみ

たくさんのんで大きくおなり

象より大きくなったら

この部屋を出られない

このドアを出られない

だから生涯あたしと一緒

悲しみもよろこびもあたしと一緒

あたしのミルクをのまない猫は…

重層的な演出をほどこされて、美しかった。若手もしっかりそだっていた。