筒井康隆原作、岡本喜八監督の映画『ジャズ大名』(1986)。乾いているが、硬ばっていない。ギャグやセリフが大人である。脚本は岡本喜八、石堂淑朗。
聡明で好奇心旺盛な藩主を演じるのは古谷一行。まわりに財津一郎、殿山泰司、ミッキー・カーチス、唐十郎ら。山下洋輔やタモリも。
映画では舞台が駿河になっているが、原作だと〈日向の南端に近い小藩〉。〈亮勝はクラリネットが上達するにつれ、どうしても黒人たちに聞いてほしくなった。合奏もしたいしもっといろいろなことを教えてもほしい。ついにある日クラリネットを持って地下へおりた。クラリネット奏者が戻ってきたわけだから黒人たちはもちろん大喜びである。合奏をくり返しながら何やかやと亮勝に教える。亮勝は合奏の楽しさが病みつきになって地下へおりて行く度数が四日に一度、三日に一度と次第にふえ、ついには毎日おりていくようになった〉
終戦と、青春。原作小説の風通しの良さはなかなか凄い。