大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

カフカ的 権力 虐げられていることの笑い

トロール・ハンター(字幕版)
2010年ノルウェーの映画『トロール・ハンター』。モキュメンタリーという手法のそもそものいかがわしさをうまくとりこんでいる。先ず取材対象となる人物が胡散臭い。クマの密猟云々と言ってでてくる死骸が、ストーリー上では本物だけれど画としては明らかにぬいぐるみ、パチモン。
なんだかずっとくすぐられているような。英国BBCコメディ、モンティ・パイソンやマイティ・ブーシュの匂いする。
クマの密猟者を追いかけていたはずが、そのひとはじつは政府の命を受けてトロール抹殺の仕事をしているのだった。取材をつづけると、夜勤手当や残業代がでないとか、一体ごとにトロール駆除記録という書類を作成するとか、笑える。
モキュメンタリーとして大まじめだがユーモアを有しているので、フィクションとしての強度が生まれている。手もちであれ定点であれ、POVというカメラの一人称性は、テレビの心霊番組やオカルトのようにかんたんにウソをつくことができる。そういうものを正坐して観るには困難が伴うが、「これは映画である」という虚構性をずっと嗅がせてくれれば、かえって虚構を信じる姿勢ができるものだ。
トロールは成長するにしたがって頭の数が増えるという謎設定も好い。増えた頭に視神経が通っているわけではなくて威嚇や求愛のための飾りだという。
監督、アンドレ・ウーヴレダル。主演、オットー・イェスパーセン。