大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

おもいやり、記憶、引用、現実

メニルモンタン 2つの秋と3つの冬
ザカリー・シャセリオ目当てで観た『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(2013)。おもしろかった。ザカリー・シャセリオはチョイ役だ。生け垣に半身突っこんで倒れている脳梗塞の男の足にスケボーでぶつかり、迷った末に携帯で救急車を呼ぶ。
監督、セバスチャン・べべデール。主演はヴァンサン・マケーニュ。
登場人物たちがカメラに向かって語りかける。観客は、聴き手。一人称の語りというのは神経症的になりがちだけれど、そこをうまく逃れている。対人関係はそれぞれに不器用ながらも自己分析はよくできていて、横暴なところがない。
恋の物語。そこに大袈裟な喧嘩が起こらないのはこの映画のいいところ。各人が自己解決しようとしてときどきディスコミュニケーションになる。その間に時が経つ。リアルだ。
リアリティーショーを観ているようなおかしな感覚が生まれる。物語の合間に、登場人物がコメントするからだ。
アルマン(ヴァンサン・マケーニュ)の友人バンジャマン(バスティアン・ブイヨン)が優しくて、といって周囲にはっきりわかるたぐいのものでなく、ひかえめでとても良かった。