大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「また来てんのか。ここはおまえの休憩所じゃないぞ」と科白する江口洋介。聴いて、過去へと一気に引きもどされた。
生きていて、懐かしいというしみじみした友愛の感覚を抱いたことがない。もっと恐ろしい、速度感をもって落ちる具合の。後ろ髪の引かれかた。
あるいは急ブレーキか。がくんとつんのめる。ジャニーズのデビュー曲を聴いたときとか、そんなかんじ。
江口洋介が連れていくのは、『ランチの女王』。2002年か。『ランチの女王』の妻夫木聡とか山田孝之とか山下智久の話をできる当時は小学生だったブルーカラーの子なんかとはウマが合う。森田剛の話をできれば更に。
江口洋介、変わらないなあとおもったのだった。成長がないということではなく。にんげんなんて変わるものではない。そのような同一性(とくに、自己の同一性)を疑えと寺山修司は言ったが、せかいは変わっても個個は容易に変わらない。ふしぎなことだ。
『ヘッドハンター』第2話、先週ぶん。おもしろく観た。
高嶋政伸正名僕蔵正名僕蔵が、転職するのかしないのか一寸わからぬ気のよわそうな人物としてはじまって、かなり意思のつよいところをみせる。高嶋と正名が演じる二人は27年の付きあい、絆。そこに「家族」を幻視する者もあれば、厭で厭で仕様がないという者もいる。そこで生まれる決別が、明暗を分ける。


「うるさいぞおまえら。しゃべりすぎだ。長いものに巻かれるしか能がない半人前のガキが。結果だけ見て人を批判するしかできないガキが。しゃべりすぎなんだよ」
失墜した高嶋を嗤う部下たちに、外野の江口洋介が言う。含蓄がある。