大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

オムニバスのいいところは、ふだん積極的には観ない俳優を知ることができるところ。

ブルーハーツが聴こえる
トータル159分。オムニバス映画『ブルーハーツが聴こえる』(2017)。1話ごと、などと律儀なことを言わずちまちま、ちまちま観ていけばいいとおもう。1話目の魅力にやられたけど。
1話目は「ハンマー(48億のブルース)」、尾野真千子に惹きこまれて角田晃広らの軽快な会話にやられる。このリズム知ってるぞと観ていると脚本・監督飯塚健。『笑う招き猫』のひと。あれもおもしろかった。関係のないものがするするとつながっていく巧さ。このするするがあるために敵と対立しつづけることなくきれいに超克してしまう。対立したままでいるのは思考停止にちかいし快楽もうすい。
つぎの「人にやさしく」(監督、下山天)で映画のコンセプトを理解できたかんじ。『ブルーハーツが聴こえる』というのはブルーハーツが聴こえてくる状況をつくることであって、歌詞の解釈ではない。「人にやさしく」はSFで、舞台は囚人護送の宇宙船。近未来の世界でもブルーハーツは流れるのだという時間的規模的な讃美であろう。
3話目「ラブレター」(監督、井口昇)。キャスティングが好かった。ストーリーは非モテだがいくらか仕事で成功もしているそれなりに成熟したおとこらが過去にタイムスリップして感傷と暴力を発露する、といった他愛ないものなのだけど、斎藤工要潤2人の恋敵に朝比奈寛。要潤の中学生時代を演じているのが渡邉奏人。おんなの子もたぶんかわいい。


第4話「少年の詩」。監督は清水崇。少年役に内川蓮生。その母に優香。スーパー屋上のヒーローショーのヒーローを演る、しかし色事などにうつつをぬかす、子どもの目から見ればしょうもない大人に新井浩文
少年の疾走するばめんに映画的な心地良さある。
第5話「ジョウネツノバラ」。永瀬正敏水原希子。PVなの? 脚本永瀬正敏、監督工藤伸一。
さいごのはなしは「1001のバイオリン」。監督が李相日で、出演は豊川悦司三浦貴大小池栄子ら、舞台は福島、話題は原子力発電所。ぶっこんできた。その意味ではブルーハーツを越えてRCサクセションだったかもしれない。三浦貴大おそろしく色っぽい。