大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

チョウ・ユンファの愛嬌に、平野紫耀をみる。

誰かがあなたを愛してる(字幕版)
『誰かがあなたを愛してる』(1987)。
演劇の勉強のためにニューヨークへやってきたジェニファー(チェリー・チェン)は、さきに渡米していた恋人ビンセント(ダニー・チャン。1958‐1993)がほかの女性と仲良くなっているのを知る。
ジェニファーは遠縁のサンパン(チョウ・ユンファ)の厄介になりながら、気持ちを立て直していくのだが……。
ラブストーリー。ラスト20分はほんと? ほんと? その結末なの? やめて! やめて! と泣いて観る。さいごのワンシーンでハッピーエンド、観客として救われる。それでまた大泣きする。
サンパンにもジェニファーにも未練たらしいところがない。未練には、憎まれ口というものもある。これもない。
ジェニファーに「きょうのわたし、何点?」と訊かれて「100点」と答えるサンパンの優しさ。書棚をつくってやったり、ブルックリン橋の画を描いてあげたり。「100点」の代わりに「いまのおまえは0点だ」と言うくだりも、優しい。
船乗り上がりの快楽的なその日暮らし。ギャンブルもやめられない。そんなサンパンだが、ジェニファーに夢を語る。いつかレストランをひらきたい、あの海岸の、桟橋に。口にしてみて一念発起するところがあって、鏡台に決意をいくつか書きだすサンパン。そこにじぶんがジェニファーを愛していることも書いてみて、不釣り合いのような気がして、「誰かが」あなたを「愛している」と改める。


ばか騒ぎして尺を稼いでいるようなところもあるけれど、いくつかのばめんがしっかりと胸にのこる。