大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

碓井将大の落語、何度でも聴きたい。

山田裕貴を見たくて本多劇場志らくに挑戦! はじめての落語』行く。このイベントを知ってすぐにチケット入手したけど、「はじめての落語」というのは着物の着付や扇子の使いかたナドの公開レクチャーだろうと大して期待もしておらず、当日チラシで

土屋礼央「子ほめ」
山田裕貴「死神」
加治将樹天狗裁き
碓井将大「紙入れ」
山田悠介時そば

と、きちんと一席ずつ演るらしいことにおどろいた。いかにも立川流なネタが嬉しい。これはしっかり稽古をつけてもらっている。
「第4回 下北沢 ワタナベエンタメフェス」の一環で、所属のイケメンが落語。客席はほとんど女性。出番はチラシのとおりでないという。
となれば「死神」がトリ。さいしょはぜったい「時そば」だろう。「天狗裁き」は「死神」と近過ぎても遠過ぎてもイケナイし、「死神」のまえに深いところのある噺はダメ……。
読みは当たって山田悠介時そば」→碓井将大「紙入れ」→加治将樹天狗裁き」→土屋礼央「子ほめ」→山田裕貴「死神」。


碓井将大の「紙入れ」がすごく良かった。舞台度胸もあるし、アニメをよく観ている世代。フラットに、色っぽく、女性を演じていた。
そうかんがえるとほかの噺は女性の出番があまりなくて、加治将樹天狗裁き」は女房に揺り起こされる八五郎かと思いきや“山田裕貴加治将樹”、大胆な改作だった。夢を見ていた劇中の「加治将樹」を起こすのは山田裕貴、映画監督、渡辺ミキ勝新太郎渡辺ミキ社長が女性だが、古典からのアレンジによって稽古がつかなくなったのだろう。「男性登場人物ではない」ことしかわからなかった。しかし加治将樹のリズムはみごと。そのあとの土屋礼央は完全に「立川志ら乃の『子ほめ』」というかんじだったけれど、完コピできれば素質ありだとおもう。
山田悠介の「時そば」は、初心者向けのようでいて、聴く側にある程度の知識がもとめられる。しかも改作してそば屋の名が「パンムンジョン」だから、十代のおんなの子には厳しかったろう。


山田裕貴「死神」。山田裕貴の顔と声。ナマの落語というだけで満足してもいい。設定を現代に変え、若い男と死神のテンションを同質にしたのは山田裕貴が多忙なためか。講評で立川志らくが「一話完結の深夜ドラマのよう」。良くも悪くも。
山田裕貴が落語にハマッたのかどうか、気になるところ。ハナシとしておもしろいものがたくさんあるからもっと触れてほしいとおもうし、それ以上に、じぶんをだすことができるばしょとして落語があるのだと。
俳優としての山田裕貴はまだぜんぜん、じぶんをだしていない。魅力ある現代性を、隠している。