大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「売春婦がつぎつぎにころされる 事件が クリスマスシーズンに起こった」

ロンドン・ロード ある殺人に関する証言(字幕版)

『ロンドン・ロード ある殺人に関する証言』(2015)。

2011年初演のミュージカルを映画化。スリリングなつくりに、にやりとする。

イプスウィッチ連続殺人事件と検索すればでてくる実際の事件、その狂騒や差別がすぐ目のまえのことのようだ。

えがかれるのは殺人ではなく、噂。売春婦ばかりがつぎつぎと。「善良な」住人たちは恐怖をかんじつつ、好奇心を掻き立てられている。

 

監督は、ルーファス・ノリス。現在ロイヤル・ナショナル・シアターの芸術監督でもある。舞台の演出もこのひとだ。

えらばれたのは、ちいさな劇場だったという。ささやくような、うたうがごとき科白。けっしてうたいあげたり、おどったりせず、さざ波めいた途切れることなきなめらかさがつづく。

静かなミュージカルなのだ。反復、増幅、突然の休止。事件に取材し、そこで拾ったことばが詞として用いられ、芝居がかったものではないのに、ミュージカルの快味を保っている。

 出演者の大半はオリジナルキャスト。