『BS笑点ドラマスペシャル第2弾 五代目 三遊亭圓楽』観る。
円楽を谷原章介、立川談志に駿河太郎。五代目円楽の堅苦しさ、談志の危なっかしいところがよくでている。
美談、失敗談のならぶ予定調和の青春物語に終わらず、社会と戦い、越えていく。
さいしょにおどろいたのは、落語協会の幹部から叱られ、衝突するくだり。
コゴトする幹部に村田雄浩、中西良太。丁寧でフェミニンな、むかしの落語家の話しぶり。ふたりともじつに嫌味で、好かった。
事前に、師匠のおかみさん(財前直見)から「ここは何を言われても、耐えておきなさい。けっして口ごたえなんかせずに『恐れ入ります』『左様でございます』『滅相もございません』、これをかわりばんこに、繰りかえしてりゃいい」とおそわるのだが……。
「テレビ屋さんたちに乗せられて、浮かれちまってんだ」といった妬み混じりの叱責ののちに村田雄浩「まあ、てなことで」、中西良太「てなとこで」と言い交わし立ちあがるのが可笑しい。
お灸をすえる、威厳を示すくらいなつもりだったのだ。しかし若者は非常な反発をする。声震わせて「滅相もございません」。これが反撃の狼煙となる。
「破門するならばするで結構でございます。ですが、わたくしの考えを間違っているとは思いません」
テレビ番組「金曜夜席」をめぐるやりとり。
円楽「わざわざテレビにでて恥は掻きたくないし、(出演者に)掻かせたくもないんでね」
談志「あんたのいけねえトコはそこだ。恥掻いて何がいけねえ。気取ってんじゃねェよ。芸人が気取ってて笑いが取れるかってんだ。恥も掻かないで楽してんじゃねえ。恥を知りやがれ」
林家こん平(松本大志)はまっすぐに、林家木久蔵(柄本時生)はぼんやりと悩んでいる。三遊亭小圓遊(松尾諭)の苦しみは深い。
しあわせなだけのドラマだろうとあなどっていたぶんだけ、かれらの挫折がひびいた。
塚本高史も良い。