劇団スーパー・エキセントリック・シアター 40周年記念公演『ピースフルタウンへようこそ』。
オールドファッションな台本は、吉高寿男。ゆるくて、アドリブを許容するようなつくりだけれど、そこに物語のカギがあったりする。
冒頭、三宅裕司が「あなたいま、しあわせですか」と聞こうとして小倉久寛に「あなたいま、にんげんですか」と問うてしまう。ユーチューバーとチューバッカとか、小倉久寛の容姿いじりはいつものことだが、清潔で富裕な〈ピースフルタウン〉に住む者たちはほんとうににんげんなのか? という伏線でもある。江戸を手本にしたピースフルタウン=青金台。幸福のために隠蔽される死や犯罪。
「リアルに犯罪ってことは、ないわよね?」
「もうずうっと平和ですし、ありえませんよ」
「そこを狙われたのかも」
科白のあとに、間なく暗転する小気味良さ。
要約すると、平和なもんだから、毎日ニコニコしてなんだかウキウキしちゃってフワフワして、ギスギスやヒヤヒヤがなくなっていつからかダラダラして、挙げ句の果てがフニフニよ!
ミュージカル・アクション・コメディ。ダンス対決のあとには内乱。市長以下、皆は《笑い》の必要性に気づく。「流行語というのは、にんげんの笑いの歴史」とかれらは理解し、崇高なラストを迎える。
ラストの演出も含め、広義のSFに入るだろう。用いられる概念が、現実に遅れをとっている気もするけれど、そこも楽しめる。
2時間におさまる舞台。カーテンコールで胸いっぱいの俳優たちがすごく好い。