大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

(天使が見たもの)

ゴーストホーム・アローン(字幕版)

2019年の90分映画。邦題は『ゴーストホーム・アローン』。 少年のように繊細なタイトルで、半角やナカグロの意味なんてことをかんがえてしまう。

暗闇が怖いおとこの子、ということ。そして外からの侵入者はいない。「ゴースト・ストーリー」でも『ホーム・アローン』でもない低予算の一夜の物語として、とりあえず中盤までは楽しめる。姉弟は血がつながっていない。再婚家庭。姉は男親の、弟は女親の血縁で。おとこの子(イーライ)の友人であるサムの母は酒びたりだったり。姉のボーイフレンドは、おとこの子の格闘ゲームにつき合うようなホモソーシャルの優しさがあったり。どこにでもあるような、素材のならべかたはじつに真っ当で、これが家族の形成の映画になればそこそこの出来になったのではないか。

原題は「MSTK(My Soul to Keep)」。

序盤でおんなの子(ヒラリー)がお祈りを口にする。〈Now I lay me down to sleep,
I Pray the Lord my soul to keep;
And if I die before I wake,
I pray the Lord my soul to take.〉

マザー・グースだ。口ずさむヒラリーは敬虔らしく、イーライよりもファナティックな匂いがする。それが暴発することはないのだけれど、何といってもマザー・グースだから、意味不明かつ凶凶しくて、映画のラストもほんとうは予期できなければいけなかったのだ。

2時間映画だったらこの終わりかたはないだろう。90分映画ゆえに許される奇手。おどろいた。これはこれでありかな。監督アジマル・ザヒール・アフマド。

 

好意的に観るなら、イヤな監禁系。実録風。そんなものを連想する。

あるいは映画『サイレントヒル』だろうか。「怪物」が実在か非実在なのかしっかり検討しなくてはならないが……。

 

“バーグリーの怪物”として主人公イーライが恐れているもの。それをヒラリーが新聞記事からみつけてくる。こういう、丁寧にベタなところぜんぶ「ホラー」でなく「ホラーのパロディ」なんだと観たほうが、楽しめる。