映画『サイレン FORBIDDEN SIREN』(2006)。監督・堤幸彦。
原作はホラーゲームだけれど、土俗的な部分もある怪獣映画だとおもったほうが、観易い。じわじわと、それでいて急展開する。ここでの恐怖は関係性や距離に属するものでない。空気である。
出演に森本レオや松尾スズキ。阿部寛。嶋田久作。娯楽寄りのキャスティングだ。
ヒロイン(市川由衣)の弟役・西山潤が良かった。意思を見とおせない透明感。観ると心臓がふわふわするかんじ。『真夏の少年〜19452020』に出演している望月歩にもそんな印象をもったけれど。かれらは毅然と、道を指し示す。
田中直樹が説明的だが良い科白する。
「サイレンなんか鳴っていない。サイレンはきみにしか聞こえていない。サイレンはきみのなかだけで鳴っているんだ」
画面は赤が多用される。褪せた赤。朱に近い赤。ヒロインと異界をつなぐ色。