ジョゼ『さまようまぼろし』。
建物の取り壊しが延期されるよう、七不思議をでっちあげていく。そこへ幽冥の者が現れて、という出だしに映画『ビリケン』を連想する。
綺麗な用務員さんと、生徒会役員の「僕」と、その兄。人物が出揃ってから、淡い恋ごころと秘密でもって話を引っぱっていく。エピソードが、もっとあってもよかったような。ジョゼは短編のほうが向いているのかも。
幽霊が、ピアノを弾く。
……幽霊になっても
そこの節 苦手なのか
おまえバイオリンは上手かったのにな
この世ならざるものときちんと対話している。書くべきことは外さない。BLとしての身体的なスリルはないけれど、ジョゼという作家は、好きだ。