大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈刑期は、三万年〉

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

朝、観ていた『魔神戦隊キラメイジャー』ではヒーローたちが猫にされた。猫となった充瑠(小宮璃央)は純粋で、敵であるはずのクランチュラ(声・高戸靖広)とも一時、甘やかな友愛が生まれた。おなじ作り手として、という説明があったけれども、かってに読みこめばその友愛はネコとネコのものだったろう。

 

そのアタマで観劇する。演劇実験室◎万有引力◎実験公演『フォークト=カンプフ検査音楽劇 プロメテウス ─伝奇仕掛けの俳優都市─』。ジョン(三好華武人)とイジドア(三俣遥河)に不良少年のバディが視えた。

今作はフィリップ・K・ディックアンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の翻案でもある。バウンティ・ハンターのリック・デッカード小林桂太)、放射能都市の歌姫ルーバ・ラフト(小山由梨子)、教主マーサー(高田惠篤)、バスター・フレンドリー(今村博)といった面々。キップル化や電気動物、フォークト=カンプフ検査などのコトバたち……。

ジョンとイジドアは、ジョン・イジドアという人物を分割したもの。ピンボケとか、スペシャルと呼ばれる落伍者のかれ(ら)に『疫病流行記』の米男・麦男をかさねてしまう。跳ね回っているが、どこにも行けない青春の二人である。

終盤のデッカードとマーサーの対話のばめんで連想したのは、ずいぶん昔の記憶になるけれど海津義孝とサルバドール・タリ。舞台の縁(へり)で演劇論を科白していた。あの画。あの愕き。あの感動だった。かつての万有引力は演劇を壊した。それをまだ、どこかに蔵しているらしかった。

企画演出、飛永聖。脚本は手代木正太郎。