大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「これが善六先生の心意気」  『御神酒徳利』

渋谷らくご2月13日、14時の回。

出演は三遊亭好二郎立川談吉快楽亭ブラック柳家小せん

録画した落語の番組が溜まる一方なので、町の落語会を覗いているばあいでないともおもうけど、所属の異なる四人、立川談吉快楽亭ブラックもいる。これは聴かないと……。

 

二ツ目三遊亭好二郎。ふてぶてしくも、愛嬌がある。マクラで「おすすめの見方」としてその都度「さいごの落語会」とおもうのが好いと。

過去の誇張もなかなかで「西麻布は軽自動車が一台も走っていない」。

演ったのは『浮世床』の将棋のくだりまで。ドラマすくなく、人物の描写に終始する噺だから、むずかしい。にんげんのせかいのばかばかしさを適宜俯瞰しつつ熱演する必要があるわけで。

好二郎、ほかのところでも聴いてみたい。

 

立川談吉。好二郎のマクラで「お店でいうなら『ドン・キホーテ』」と評されていた。メロディアスでバラエティに富んでいる。そういう落語家だ。

マクラ。後輩のやっている「Clubhouse落語」や、自身の「テレワーク落語」について。

「テレワーク落語」は限定1名の予約物。電話ごしに落語を聴くという、凄いやつだ。先日は『つる』のネタ下ろしだったとか。

きょうは『阿武松緑之助』。あまりの大食らいで相撲部屋を追いだされた男の話。

「この世の飯の食い納め。名残り飯」なんて、さいごの晩餐のつもりで宿の飯を食いに食っていたら、あるじの目に留まり、相撲の親方を紹介してもらう。

そこからはトントン拍子。口跡の佳いファンタジーに、満足。

 

快楽亭ブラック六尺棒』。マクラと噺に時事、エロ入れて相変わらずのブラック節。

 

柳家小せん『御神酒徳利』も非常に良かった。立川談吉のマクラの「小腹が空いた」や「滝行」に『阿武松緑之助』のタダ飯、地の語りの「知っているのは演っているこの私だけでして」辺りが響いてくる。

「神頼みでもしてみよう。と言っても普段から信仰をしてる神様もあるわけじゃありませんでね。寒中、頭ッから冷水をかぶって三七、二十一日のあいだ、断食をして頭から冷水をかぶるという行にかかるんですが……」

お人好しだがうっかり者の善六が、女房の機転でニセ占いをすることとなり、どんどん話が転がっていく。