『散歩する侵略者』(2017)の衝撃は高杉真宙だった。浮世ばなれした美少年。
長澤まさみと松田龍平が演じる、壊れつつあった夫婦の愛の物語だが、あんがい高杉真宙と長谷川博己のドラマでもあった。
ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は宇宙人を名のる天野(高杉真宙)の「ガイド」になってしまうのだけど、この世界への反発もあって徐々に絆を深めていく。大した議論もなく、ただただ心でのめりこんでいくので、桜井はへんな人物なんだとわかってくる。長谷川博己も凄い。
桜井が地球の侵略に加担するさまは、クィア文学。クィアというのはピカレスクともちがうものだというおどろきもあって。
恒松祐里、笹野高史、満島真之介が好演。それぞれの感情、思惑がばらけて群像劇としてもみごと。
監督、黒沢清。