大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

安部公房『友達』

配信、シス・カンパニー『友達』(新国立劇場・小劇場)。安部公房原作の、典型的な不条理劇。《疎外》をかんじている孤独な青年の部屋を、まったく面識のない大家族が訪れ、住みつく。監視と監禁。ドラマの密室性を高めるためには部活や会社などよりも都合が良いということ。そこが青年の住居かどうかは、大した問題でない。

青年の奥深くにあった閉塞感が闖入者達の存在で増すか、減るか。

おかしなかたちだったとしてもそこには出会いがあり、選択も生まれる。たとえば性愛。男が女に絡めとられていくのも安部公房らしい展開で、趣味や思想といった革命的ななにかは《生活》に敗北する。

《生活》の勝利を悲劇と呼ぶのは厄介なことだ。だから《喜劇》的なアプローチがあるはずなのだけれど、さほど笑える演出にはなっていない。演出・上演台本の加藤拓也は悲劇寄り。問題提起型。まだ若い。

山崎一キムラ緑子浅野和之林遣都有村架純。岩男海史に大窪人衛。鷲尾真知子、内藤裕志。主演は鈴木浩介。キャスティング凄い。

ほかに富山えり子伊原六花西尾まり、長友郁真、手塚祐介。多士済済なれど上演時間90分。