大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

「日本では森は“自然”を象徴するが、ヨーロッパでは“超自然”を象徴しているのである」

動く森 スコットランド『マクベス』紀行

2015年の佐々木蔵之介一人芝居『マクベス』に合わせて刊行された『動く森――スコットランドマクベス」紀行』(扶桑社)。これが、マクベスの副読本としてじつに効く。

キャプションや脚注もぜんぶ、佐々木蔵之介が書いたのではないかとおもわせてくれる一人語りの匂いの佳さ。ずらりと並んだフォトインデックスの短文まで生き生きとしている。

編集・構成、中野克哉。市川猿之助との対談部分は今井浩一。

スコットランドでこの目で見た星、空、雲、花、大地、そして森……。

僕がこれまで日本で見てきたものとはどこか違うものだった。

シェイクスピアが何気なく書いているそれらの言葉の真の姿に、

旅の前よりはちょっとだけ近づけたような気がする。

コーダー城、グラームズ城、マクダフ城。フォレスの荒野、バーナムの森、ダンシネインの丘。スクーン宮殿やグラスゴー大学など。

スコットランドの位置は北海道よりはるか北、樺太の北部に相当する。

それは何を意味するかというと、寒いのはもちろん、

日が沈む時間が遅いということ。

エディンバラの街を一望できるカールトン・ヒルという丘の上でも撮影したが、

夕景のように見えても、実は夜9時を過ぎている。

ホテルの部屋での撮影も夜の8時くらいだった。

夜遅くまで撮影できるため、

パブに行けたのはたったの1回、

自由時間がほとんどなかったのは、本当に残念!

四大悲劇のなかではいちばん短く、戯曲として読むときは情景をおもいえがくこともない。ドライで、キレッキレの不幸の連鎖。それだけに演る身はきついだろう。この旅で、土地に触れる意味。それは観る側にもある。