大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

開演13時、終演予定15時20分。押した。

春風亭一之輔のドッサリまわるぜ 2022』、よみうりホール。

オープニングは私服姿で春風亭一之輔。これだけで会場が盛りあがる。

開口一番は春風亭与いち「金明竹」。

一之輔は「加賀の千代」「反対俥」。仲入りあって「百年目」。

 

「加賀の千代」はご隠居さんが甚兵衛にデレデレというBL。

甚兵衛は、借金ばかりこしらえて、女房にあたまのあがらぬ粗忽者。女房に言われる。犬や猫をかわいがるひともいる。朝顔をかわいいとおもうひともいる。「朝顔がかわいい?」「朝顔につるべ取られてもらい水」、加賀千代女の歌だ。20円借りてこいと。

8円5、60銭あれば間に合うけれど、言った半分しか貸してもらえないかもしれない。10円借りに行って半分の5円じゃ帯に短し襷に長し。だから20円。

甚兵衛がご隠居さんを訪ねるとポンと20円貸してくれる。「かわいいねえ」と連呼しながら。「そうじゃないんです」と甚兵衛。120円? とご隠居さん。「ちがうんです」220円? 300円? 500円? 1020円?

いくらでも用立てしてくれようとする。格差ある愛。

 

「反対俥」。本来は、ヨボヨボの車引きじゃあちっともすすまないので威勢の良い車引きに乗り換えたものの、すすみすぎてしまう困難という、そういう噺だけれど、ヨボヨボのパートのみで成立させる。「加賀の千代」と「反対俥」でよみうりホールが大爆笑。

 

よみうりホール、2023年に改修に入るという。便座のような客席、と一之輔が笑わせる。

よみうりホールに語りかける。袖の夢空間にも語りかける。

学校寄席の話。シネマ落語のようにたっぷりの尺で、『魔女の宅急便』の話。

春風亭一之輔はここ1、2年で貫禄がつき、バランスも良くなった。「百年目」はおおきいホールにしては落ち着いて演り過ぎたような気もするが、満足。