「わたしをだましたのね? ひどい子ね」
ジョン・ポルソン監督『ハイド・アンド・シーク』(2005)。“イマジナリーフレンド”をめぐる娘と父の物語。出演はダコタ・ファニングとロバート・デ・ニーロ。
『裏窓』『シャイニング』『エクソシスト』など、引用による誘導が佳い。殺人事件が起こるのかな、お父さんが殺人鬼になっちゃうのかな、それともほんとうにオカルトホラーなのかな――と。
ロバート・デ・ニーロ演じる男が就寝前に望遠鏡で隣家を覗き見している。サスペンスとしては、序盤のこの画がかなりのヒントとなる。
妻の死をきっかけに、都市部から郊外へと引っ越すデイヴィッド(ロバート・デ・ニーロ)と娘のエミリー(ダコタ・ファニング)。
デイヴィッドとエミリーはよく似ていて、独占欲つよく嫉妬ぶかい。時折発露する残虐さ。デイヴィッドが、娘に残虐さを押しつけている箇所もある。
孤独なエミリー。友達をつくることができない。一方、堅苦しい性格でありながら寂しがり屋の父親は、すぐ女性に声をかける。
男性への警戒心はつよい。エミリーに「知らない男と話すな」と叱責する。
エミリーは父が怖いけれどほかに行くばしょもない。だれかに助けてほしい。同時に、だれが来たところでチャーリーの犠牲者になる気もする。
このエミリーのSOS。まえから知っているひとや、あたらしく出会ったひと。お父さん。
母といた頃の笑顔にはじまり、けげんな表情、隠しごと、シラを切る、すべての露見をおそれる眼……。ダコタ・ファニングの演技を愛でる。
気にかけて観るとおもしろいのは、エミリーがチャーリーを認識したのはいつからか? 猫をころしたのは、だれか?