大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本では森は“自然”を象徴するが、ヨーロッパでは“超自然”を象徴しているのである」

2015年の佐々木蔵之介一人芝居『マクベス』に合わせて刊行された『動く森――スコットランド「マクベス」紀行』(扶桑社)。これが、マクベスの副読本としてじつに効く。 キャプションや脚注もぜんぶ、佐々木蔵之介が書いたのではないかとおもわせてくれる一人…

女であることを隠していないがいまは男として生きる。

坂本龍馬 ええか! 総司がいつまでもオトコの格好して、刀を振り回しとる時代は終わりにせないかんのじゃ! 原作、つかこうへい。映画『幕末純情伝』(1991)。脚本・監督薬師寺光幸。 公開時は『ぼくらの七日間戦争2』との二本立てだったらしい。それで編…

人間の憎悪のゆくえ。

『ミネオラ・ツインズ』観る。ずいぶんまじめな演出だった。戯曲の迫力、疾走感、喜劇性……。既成の価値観に対する哄笑はうすれていた。 えがかれる物語世界の、歴史や思想にこだわったまま生硬で、演劇のもつ遊び、匿名/透明性、普遍的衝動をなかなか得られ…

(一人芝居の頂点)

アンドリュー・ゴールドバーグ演出『マクベス』(2015)。主演、佐々木蔵之介。一人で二十役。所は、病棟。女性医師に大西多摩恵。看護師、由利昌也。 精神を病んだ者が、すでにある世界を演じ、つづける(ここでは『マクベス』)趣向というか状態はありふれ…

「あーまあ蜆だから、漏れても淡水ですしね」

『おいハンサム!!』、第2話。 商談のときに、鞄のなかのタッパーの蜆がコトコト、コトコト活動している。 そのために、却って冷静な判断ができたり、「ちいさな命か……」と回想したり。 子らの幼少時ばかりではない。そのばめんに顔をだすのは、ちいさな蜘蛛…

「わたしをだましたのね? ひどい子ね」

ジョン・ポルソン監督『ハイド・アンド・シーク』(2005)。“イマジナリーフレンド”をめぐる娘と父の物語。出演はダコタ・ファニングとロバート・デ・ニーロ。 『裏窓』『シャイニング』『エクソシスト』など、引用による誘導が佳い。殺人事件が起こるのかな…

〈腑に落ちない日もあったけど〉

『連続ドキュメンタリー RIDE ON TIME』Season 4「なにわ男子 エピソード2 三年目の奇跡」。 正直、言うと。おれ「Time View」書いたの、あの、それこそその7人の想いもあって、というのもありますけど、みんなと泣きながら歌いたくて書きましたから。 よ…

「親方。あっしは真ッ直(つ)ぐを貫いてますんで」  亥之吉

スペシャルドラマ『必殺仕事人 2022』。 貧しい育ちの亥之吉(岸優太)と才三(西畑大吾)兄弟。幼なじみの美代(高月彩良)。かれらに優しかっただんご屋の夫婦(小林隆、杉田かおる)。 亥之吉と才三は正義感からバンクシーならぬ「晩来(ばんくる)」を名…

「女たちよ!」  『おいハンサム!!』

『おいハンサム!!』、脚本・演出、山口雅俊。イイ。 原作は伊藤理佐の『おいピータン!!』『渡る世間はオヤジばかり』その他。これがほどよくミックスされて、練られたファミリーロマンスになっている。 キャストも抜群。吉田鋼太郎、MEGUMI。娘たちに木南晴…

ジョエル・コーエンの『マクベス』。

どこへ逃げたら? 何も悪いことをした覚えはない。いいえ、この世に生きているのだ、ここでは、悪いことをして、かえって賞(ほ)められ、よいことをして、危ない目にあい、ばか呼ばわりもされかねない、そうだとすれば、悪いことをした覚えはないなどと、所…

「だからってすごすごと、脇役になれって? 冗談じゃないわよ、わたしはね、どこにでもいる主婦とはちがうの、特別な人間なの」

「夫人。あなたには家庭がある。ただの主婦に、もどればいい」 「それがもの足りないから……踊ってたのよ」 「大阪御ゑん祭 『夫人マクベス』」(2019)。マクベス夫人としての近藤芳正を軸に、起承転結、4つのユニットのオムニバス。 【起】テノヒラサイズ「…

原作は筒井康隆。

岡本喜八監督『ジャズ大名』(1986)85分。 役柄もあって古谷一行が格好良い。きっぱりと、明朗な科白。不戦派の大名を演じる。 戊辰戦争の要衝に、城がある。西から東から、新政府軍がとおりたい、幕府軍がとおりたい。どちらに与することもなく、通行させ…

「何が知りたいんです?」「だから。どっちがオトコなの?」

ポーラ・ヴォーゲル『ミネオラ・ツインズ 六場、四つの夢、(最低)六つのウィッグからなるコメディ』(訳・徐賀世子)。 訳者あとがき、解説(伊藤ゆかり)、年表や当時の人名録が付されるなど、親切なつくりになっている。戯曲そのものの短さもあるが。 伊…

「材料」「道具」「掃除」  中村外二工務店

シーズン2に入ってからの『准教授・高槻彰良の推察』が録りっぱなしで追えておらず、雑誌のたぐいは完全に脱落した。その辺りをちびちびと摂りつつ2022年をはじめたい。 『ペン』2022.2、表紙は伊野尾慧。京都・岡崎にできたラグジュアリーホテル『眞松庵』…