「親方。あっしは真ッ直(つ)ぐを貫いてますんで」 亥之吉
スペシャルドラマ『必殺仕事人 2022』。
貧しい育ちの亥之吉(岸優太)と才三(西畑大吾)兄弟。幼なじみの美代(高月彩良)。かれらに優しかっただんご屋の夫婦(小林隆、杉田かおる)。
亥之吉と才三は正義感からバンクシーならぬ「晩来(ばんくる)」を名のり、夜な夜な落書し市中の悪をあばく。
昼間の亥之吉は岡っ引き。渡辺小五郎(東山紀之)の下で働く。
才三は経師屋の涼次(松岡昌宏)について絵の腕を磨いている。そこで育まれる涼次への恋ごころ。秘めたるものが孤独でないのは幼なじみ・美代の理解によるものだ。
その美代がころされたところから、悪も正義も暴走がはじまる。亥之吉につく世直し組は正義の強火担に。
「晩来」にも方向性の違いが。それが才三の想う涼次きっかけというのは上手い。
涼次との絵が完成した才三。仕事の完成が恨めしい。「と、とうとう終わっちまったなって」
涼次 おれもおめえのこと好きだぞ。
才三 え。
涼次 (ト微笑んで)弟みてえに思ってる。
才三 ……はい。
涼次 なあ才三。おめえほどの腕がありゃあよォ、絵師として名を成すことができると思う。(ト笑って)まあ、焦ることはねえ。な? だからよォ、「晩来」みてえな真似しなくてもよ。……あぁいやいやいや、おめえがそうだって言ってるわけじゃねンだよ。これァあくまでよ、忠告だ。な?
松岡昌宏演じる涼次には、才三の気持ちが丸見えだ。しかし導き手である兄貴分。抱き寄せる近さをかんじさせながらも、例え話で気づかせたい。
ほかに和久井映見。遠藤憲一、知念侑李。キムラ緑子、中越典子。金田明夫、木村了、羽場裕一。生瀬勝久、松尾諭など。
監督、石原興。脚本、西田征史。