大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2024-01-01から1年間の記事一覧

〈肌で触れ合ったことで 曖昧だった自分の輪郭が少しはっきりしたような気がする〉

「あの映画 少し前の時代に作られてたら違うラストになっていたとなっていたと思うんですよ その狭間に 自分はいるんだなあと思ってじーんとしましたね」 ゆざきさかおみ『はいらなくても、いいじゃないか』。初出は2020年。 カミングアウトしていないクロー…

矛盾ではない。強さと弱さを併せ持つ人間たちの正直なぶつかりあい。

1995年、椿組プロデュースで上演されたとき、この作品は10年前に亡くなった友人Tちゃんに捧ぐ、という副題が付いていた。Tとは椿組の座長外波山文明さんの親友たこ八郎さんのことである。ボクシングの元日本フライ級王者であり、引退後コメディアンとして活…

〈江戸書物屋仲間へもお叱りが来た。黄表紙作者はとかく突飛なことばかり思いつき、世の慣行を乱しがちである〉  井上ひさし「質草」

第105回『カリーズ寄席』。出演は春風亭昇羊、春風亭昇咲、柳家花いち。 演目は昇羊「二階ぞめき」、昇咲「区それぞれ」、仲入あって花いち「狸の紹介」、昇羊「質草」。 春風亭昇羊は二枚目で良くも悪くも芝居っ気の堅さがある。それが綺麗に効いた「二階ぞ…

百年目

「落語協会百年興行」三月十日、昼の部。 春風亭一蔵 「置泥」 三増紋之助 曲独楽 古今亭文菊 「つる」 鈴々舎馬風 漫談「楽屋外伝」 ロケット団 漫才「四字熟語」 林家彦いち 「遥かなるたぬきうどん」 入船亭扇太 「ぞろぞろ」 五街道雲助 「勘定板」 林家…

星降る夜の自由

新国立劇場演劇研修所 第17期生修了公演「流れゆく時の中に ─テネシー・ウィリアムズ一幕劇─」観る。 初期作品の三本立て。戯曲コンテンストで百ドルを得た一幕劇集『アメリカン・ブルース』から「坊やのお馬」と「踏みにじられたペチュニア事件」。それと「…

〈夏休みよ さようなら 僕の少年よ さようなら〉

『三上博史 歌劇 私さえも、私自身がつくり出した一片の物語の主人公にすぎない』観る。 開場してすぐ、トイレと物販に行列ができる。そこへ現れ、徘徊する演劇実験室◉万有引力の俳優たち……。 おおきい劇場だから、ロビーがある。舞台とは異なる光のもと、か…

物語をじゃんじゃんと浴びて雪が止む

「新春邦楽舞台初め『琵琶楽名流大会』」訪れる。 土日はひとのすくない茅場町。ホールのある東京証券会館に華やかな着物姿があつまってくる。 正午開演、終わりは十八時。各人の持ち時間は十五分程度で、十五時に一〇分の休憩あり。もちろん全て観る必要は…