大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「かわいい」のこと

遅ればせながら、和山やま『夢中さ、きみに。』。書影はずいぶんまえから気にしていたが「手塚治虫文化賞(短編賞)とりましたよ! 試し読みもできますよ!」と年下の友人から推されるかたちで、やっと。 単行本は林くんが登場する4篇と、二階堂くんがでてく…

〈そして、兵営の外の世界のやりきれない暗さが、僕の皮膚をふたたび染めはじめているのに気付くのだ〉  吉行淳之介「藺草の匂い」

短篇集。吉行淳之介『焔の中』。えがかれているのは昭和十九年、二十年。敗戦まぢかの日本だ。 「僕」を形成しているのは虚弱な身体と、あこがれ。逞しい男性像へのそれはない。十全ではない身体が欲するのは、女体だ。 まさに吉行淳之介のテーマだけれども…

「おまえは学ぶことを怠るな。一日一冊は本を読みなさい」

ぼくはずっと バットは野球をするためにあるんだと思っていた。 投げられたボールを、 打つためにあるんだと… でももしかしたら 逆かもしれない。 もともとは ボールじゃないものを たたいていたんじゃないか? 吉野朔実(1959−2016)による『ピリオド』第1…

(ショックやったなぁ…仕事とか夢とか 諦めなあかんこともあるんや…)

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』第5巻。 巻頭は、タニタ食堂の話で、めずらしく固有名詞がでてきたと読み進めれば、外食で肉料理をシェアした奇縁とあとがきに書かれていた。偶然を語れる明るさが佳い。 ほかにも大手を離れ、中小に転職した話や、…

「そっか…ターゲットとおれらって たった4歳違いなんだ」

オトクニ『広告会社、男子寮のおかずくん』第4巻。 競合店もなく、美味しいのに客数が減っている洋菓子屋さんと新人の営業の子。設定だけでドキドキする。 色んなイベントを1年で1周して… 客入りが落ち着いてしまった…? だとすると それは商品価格とかの…

一九七九年の名作劇場

TOKYO MX で『赤毛のアン』がはじまった。アニメ『映像研には手を出すな!』や志村けんとパンくんの残影のなか視聴する。想像力と友情をあつかう。何周目のアンだろうか。とにかく泣く。おもいだしただけでも泣く。 初回は「マシュウ・カスバート驚く」と「…

「にんげんになれなかったじぶんを恥じるように、ひっそりと去っていく」

『泣き虫しょったんの奇跡』(2018)。主演は松田龍平だが、早乙女太一、妻夫木聡、染谷将太、永山絢斗、野田洋次郎、渋川清彦、上白石萌音、新井浩文その他、新進の二枚目だけでも大勢でていて、しかし将棋の、奨励会の話だからみんなで幸せになることはで…

〈平和の蔓延〉

劇団スーパー・エキセントリック・シアター 40周年記念公演『ピースフルタウンへようこそ』。 オールドファッションな台本は、吉高寿男。ゆるくて、アドリブを許容するようなつくりだけれど、そこに物語のカギがあったりする。 冒頭、三宅裕司が「あなたいま…