大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

〈初期化された この 世界〉

倉持裕、作・演出『DOORS』(2021.5.29 世田谷パブリックシアター)。 出演は奈緒、伊藤万理華、早霧せいな、田村たがめ、菅原永二、今野浩喜。 平行世界を行き来するジュブナイル。岩波少年文庫のような。 はじまりは、雷雨の夜。陰惨に衝突する母子家庭。…

「永井荷風も永六輔もいつも寄席にいたでしょ。常に人混みの中にいないと見つけられないよ」  高田文夫

『散歩の達人』2022.5 。「俳優 安藤玉恵を育んだ西尾久の街」目当ての購入。大特集「都電荒川線さんぽ」と特集「街には笑いが必要だ!」の相性も良い。 安藤玉恵の地元は、三業地。「私の祖母は、阿部定さんを見たことがあるらしいんです」 玉恵 私、阿部定…

まだ見ぬ怪物を飼い馴らそうとする

『アンチポデス』観る。新国立劇場のシリーズ「『声』 議論、正論、極論、批判、対話…の物語 vol.1」として。 『アンチポデス』を書いたのはアニー・ベイカー。翻訳、小田島創志。演出、小川絵梨子。とある会議室で芸術的、財政的におおきく成功するためのブ…

「おまえはじぶんが信じるものしか見れないからダメ。人間は信じられないものも見えるからいいんだよ」

肝心なことが全然見えてないんだよね。 幽霊とかUFOとか見たことある? あたしはあるわよ。 (……) たまには、ありえないものとか、見なさいよ。 「たとえば、いまそこで河童がウロウロしてるけど、どうせあんたには見えないんでしょ?」と、母(松坂慶子)…

血だまりの(イマジナリー)フレンド

ジェームズ・ワン監督『マリグナント 狂暴な悪夢』(2021)。 さまざまな引用のなかでいちばんつよくかんじたのはウェス・クレイヴン。『エルム街の悪夢』『スクリーム』『壁の中に誰かがいる』……。襲ってくるのは人間的な身体能力と、憎悪。 スリラー、サス…

さいごは、東京大衆歌謡楽団。

「『二つ目物語』完成記念特別上映会」行く。 監督、林家しん平。上映前の進行は蝶花楼桃花。しん平師、喋れば飽きさせない。今作・柳家㐂三郎の演技と『落語物語』(2011)の柳家わさびの違いや、前座ぽっぽ→二つ目ぴっかりを経てしん平映画常連である蝶花…

〈そこからわずか数手で形勢は非情にも傾きはじめる 将棋とは逆転のゲーム――〉

南Q太『ひらけ駒!』第3巻。 「やだ――ちょっとそこ引かないでくれる べつに若い子見に行ってるわけじゃないのよ」 「あたしは若い子 見に行ってるよ(キッパリ)」 女子アマ団体戦。おとなのチームとこどものチームが対戦する雑多。おひるごはんをたべなが…

「宮殿のことパレスっていうでしょ」「だからパレスサイドビルなのね」

南Q太『ひらけ駒!』第2巻。 「今日の棋譜 書いておいたら よかったかな〜〜 一応道場でも 相手の人に ことわったら 棋譜書いても いいんだって」 「羽生さんも 深浦さんも 小学生で 書いてた」初めての棋譜。こどもの夜の熱中。 「考えてもみろ どんな奴で…

余白がある。軽快。

南Q太『ひらけ駒!』第1巻。母と子。将棋にハマる。 天才の物語でなく、読みやすい。なにかを好きになる。その衝動の素直さ。ねむる子のまわりにひろがるたくさんの将棋の本。エッセイや絵本のような慈しみ深い描写が佳い。 子の物語だから礼儀正しいのも美…

〈たくさんのおんなのひとがいるなかで わたしをみつけてくれてありがとう〉  今橋愛

穂村弘『ぼくの短歌ノート』で知った今橋愛の歌が良かった。 とりにくのような せっけん使ってる わたしのくらしは えいがに ならない それで、電子書籍で本をさがした。むかし歌集はすぐ品切れになって手が届かなくなったりしたが、だいぶ時代は変わった。 …

〈柔道の受け身練習目を閉じて音だけ聞いていたら海です〉  小坂井大輔

ずっとトイレに置いてある。うそうそ、電子書籍で持ってる。 小坂井大輔の歌集『平和園に帰ろうよ』。暴力の歌もあればかわいいの歌もある。 値札見るまでは運命かもとさえ思ったセーターさっと手放す 白葱を噛んだらぎゅるっと飛び出して来たんだ闇のような…