大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

〈柔道の受け身練習目を閉じて音だけ聞いていたら海です〉  小坂井大輔

平和園に帰ろうよ (新鋭短歌シリーズ48)

ずっとトイレに置いてある。うそうそ、電子書籍で持ってる。

小坂井大輔の歌集『平和園に帰ろうよ』。暴力の歌もあればかわいいの歌もある。

値札見るまでは運命かもとさえ思ったセーターさっと手放す

白葱を噛んだらぎゅるっと飛び出して来たんだ闇のような未来が

喜んでほしくて食べた泥だんごなのに子供らみんな泣き出す

 

 

おせっかいにうるさいなぁと返すのも減ってわたしと母に降る雨

わたくしは三十五歳落ちこぼれ胴上げ経験未だ無しです

無くなった。家も、出かけたまま母も、祭りで買ったお面なんかも

 

 

「実家の犬の名前がまたもベルです」と姉からメールが久々にきた

 

 

世の中は金だよ金、と言うたびに立ってる焼け野原にひとりで

立て札に「この先キケン」と書いてあるじゃあ今までの道はなんなの

 

 

店内を試し履きして歩くとき周りの靴は星に見えるね

 

 

頂いたシュークリームが父親の膝に似ていて直視できない

 

 

生まれたということそれは世界という大きな詩の一篇になること