大漁、異漁。耀

タイトルは タトゥーのようなもの

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「ああ、あたしが手を触れるものは、何もかも滑稽で、下卑たものになっちまうのね」

劇団新人会『ヘッダ・ガーブレル』観る。上野ストアハウス。 新人会といっても第1回公演は1954年。俳優座から派生した新劇のユニットであり、今回演出にまわった前田昌明は1932年生まれ。91歳だ。 主演の萩原萠と、今回出演はないが永野和宏の3名で劇団新…

〈水に流すも江戸育ち〉

大きい呉服店はデパートになり、そのうち駐車場が不可欠のものとなった。都電のチンチン電車が姿を消し、歩行者天国が案出され、日本橋界隈はますます美々しい商店街となった。 安野光雅『黄金街道』。巻頭、古今亭志ん生の「黄金餅」が収められ、安野光雅の…

〈私は昭和二年生れの五十八歳だが、いわゆる少年時代、受験のための勉強に追われたし、私以外の少年、少女も同様だった〉  吉村昭

私の住む町で耳にできる楽器と言えば、三味線、琴、尺八程度だが、山の手の住宅街を歩いていて初めてピアノの音をきいた時には、思わず立ちつくした。 吉村昭のエッセイ『東京の下町』(絵・永田力)。幼年期の不安と感激がやわらかなままのこっている。その…

アトリエ乾電池 別役実

劇団東京乾電池『小さな家と五人の紳士』観る。別役実、作。演出は柄本明。 男1(矢戸一平)と男2(川崎勇人)、舞台度胸はあるけれど不器用で、人間臭い。満点の演技ではないが、そのぶんだけ演出家がどのような演出をしているのかすこしわかったような気…